懸念される「第3次世界大戦の勃発」という最悪の事態
サウジアラビア王国は、アラブ連盟を通じて、和平のための(ガザの戦後復興のための)アラブ案を提示し、イスラエルとハマスに検討を迫っていますが、アメリカの反対を受けて、イスラエルもそれを突っぱね、他の中東案件と絡んで、イスラエルとアラブ諸国の間の緊張は極限まで高まってきています。
最近、中東における核兵器使用の危険性が高まっているという分析結果が多数上がってくるようになりましたが、これまでのイラン核問題に対するアラブ諸国、特にサウジアラビア王国の反発と警戒とは違い、公然の事実として認識されているイスラエルの核兵器保有と配備を受け、今後、アラブ諸国が挙ってイスラエルに対する攻撃を行う場合、イスラエルは核兵器による反撃を加えるのではないかという懸念が広がってきています。
そうなるとまさにこの世の終わりが始まることになりますが、最近になって「第3次世界大戦がはじまるのは、コーカサス地方でも、バルカン半島でもなく、中東・アラブ」という分析や予測を耳にすることが多くなってきました。
中東アラブにおける中国とロシアのプレゼンスの高まりと、戦略的パートナーシップの強化、そしてイランとの歴史的な和解などを踏まえ、中東アラブ諸国における核保有への機運が、これまで予想されていたシナリオ(イランへの対抗策)とは異なり、イスラエルの企てに対する策として高まっているということのようです。
トランプ政権が急にイランとの核協議を走らせ、今週から来週にかけて3回目の協議がオマーンで開催される見込みとのことですが、これはアラブ諸国の不満と反イスラエルの機運の高まりに危機感を感じたからなのか?それとも、ただ成果を急いでいるだけなのかはわかりませんが、トランプ政権側が特段条件を和らげている様子は見当たらないため、あまり結果には期待できないと思われます。またこれまでと違い、アラブ諸国のサポートがイランについていることも、イランの交渉ポジションを高めているように思われます。
誰も第3次世界大戦の勃発は望んでいませんが、国家安全保障の名のもとに我が道をひたすら突き進み、念願のパレスチナの崩壊に着手しているイスラエルの姿勢に対して、アラブ諸国とイラン、その背後にいる中ロとトルコが結束を強めている様子は、大きな懸念を抱かせる状況になってきています。
この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ









