参院選を前に考えたい。日本社会に根付かなくなった「民主主義」に代わるモノ

 

今、ここにある姿は民主主義ではないならば、どのような形がよいのだろうか。

それはコミュニケーションツールが激変する中では当然の変化だから、積極的に議論の場所を作っていく必要がありそうだ。

ドイツでは、総選挙で躍進し、第二勢力になったポピュリズム政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が情報機関から極右組織との認定を受けた。

「民族・血統主義的な見方は人間の尊厳を侵害している」を理由にしているが、世論調査で国民の支持を集めるメジャーな政党になっただけに、それを政府機関が過激派と見なすのは異例。

トランプ米大統領はじめ米政権は以前からAfDを支持しており、この決定には強く反発している。

カナダ総選挙やオーストラリア総選挙は、反トランプの立場であった与党が共に勝利した。

オーストラリアでは、労働党のアルバニージー首相は続投することになり、ロイター通信によると、首相は「われわれはどこかの国に物乞いしたり、借りたり、真似したりする必要はない」と述べた。

これは、選挙序盤でリードしていた野党の保守党がトランプ政権を模倣する政策を掲げていたことに対したもので、自分たちの在り方が問われているともいえる。

日本では今夏、参議員選挙が行われる。

革新や保守という構図では収まり切れない様々な政党が乱立しそうで、これまでの巨大与党の自民党に対して政権交代を掲げる最大野党とそのほかの政党、という括りではなくなった。

SNSという情報ツールを手にした小政党は、自民党を凌駕する発信力を持ち、全国的にメッセージを「効果的に」伝える手法に長けている。

新しいメディア活用の巧みさと主張の正当性がうまくかみ合えば、よいのだが、誹謗中傷を繰り返したり、主張の根拠があいまいな、またはフェイクニュースに類似したものであれば、投票に混乱をきたすことも予想される。

世界が揺れ動かされる中で、私たちの民主主義の社会の在り方を考え、それがおびやかされるという危機意識も機能させながら、活発に議論をして投票したい。

選挙を通じて社会に根差した民主主義を考えてみる機会にするために、私も周囲と話していきたい。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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