世界一高い山として知られるネパールのエベレスト山ですが、その名前をめぐって中国が主導権を握ろうとしているようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、米国トランプ大統領が「メキシコ湾」を独断で「アメリカ湾」に名称変更したことにならって、中国がエベレストを「チョモランマ」に変更しようとしている動きついて紹介しています。
エベレスト山の名称を巡る中国とネパールの争い!引き金を引 いたのはトランプ大統領?
ぶっちゃけ、世界を騒がす天才といえば、アメリカのトランプ大統領の右に出る人物はいません。
中国にも日本や英国にも相次いで「関税大砲」をぶっ放しています。
しかし、あれよ、あれよという間に、前言を翻す天才と言っても過言ではありません。
他人の反応や反対などお構いなしで、朝令暮改のトランプ大統領です。
自国民の愛国心を鼓舞しようと、あの手この手を繰り出しています。
例えば、独断で「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に名称変更してしまいました。
そんな勝手な名所変更を認めない通信社の記者をホワイトハウスの会見場から追放しても平気の平左です。
実は、似たような騒動が世界最高峰のエベレスト山を巡っても勃発しています。
エベレスト山といえば、標高8849メートルで、中国のチベット自治区とネパールの国境を跨ぐように聳える世界に冠たる霊山です。
エベレスト山の呼び名は英国の東インド会社の主任測量士のジョージ・エベレスト大佐にちなんで命名されました。
エベレスト大佐は自身の名前が山の名前に使われることには反対していたものです。
とはいえ、ネパールでは「サガルマータ」と、中国では「チョモランマ(珠穆朗瑪)」と呼ばれています。
「サガルマータ」とはネパール語で「世界の頂上」、「チョモランマ」とはチベット語で「大地の母神」という意味です。
ところが、この5月17日、ネパールの首都カトマンズで開かれた気候変動対策の国際会議の席上、中国の代表が20分の基調演説において、エベレスト山に言及する際、「チョモランマ」を10回以上も連呼しました。
この会議には英国、インド、日本などの政府関係者や国連、世界銀行など国際機関の代表200人以上が参加していたのですが、皆が驚いたとのこと。
というのも、トランプ大統領による「アメリカ湾」の前例があるため、「これは中国政府が世界最高峰の名称をエベレストからチョモランマに変えようとしているのかも知れない」という受け止め方が広がったためです。
ただ、ネパールの首相や外務大臣も出席していましたが、中国代表の言動には沈黙。
ちなみに、中国はインドとの国境地帯の地方の名称に関しても、争いを激化させています。
とはいえ、中印国境地帯の名称と、世界最高峰のエベレスト山の呼び名ではインパクトが大違いです。
ぶっちゃけ、アメリカも中国も世界制覇にこだわる大国同士のため、小国ネパールの意向は蚊帳の外で、自国の影響力を最大限に高めようとしているに違いありません。
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