小林よしのり氏が指摘する「愛子天皇」否定カルトの危険性。背景に異常な男尊女卑思想、懸念される「フェミサイド」どう防ぐ?

 

「皇統よりも自分の男尊女卑感情の方が大事な者たち」が暴走する

ところが、ここで見過ごせないことがある。メキシコでは、女性差別撤廃の動きが進めば進むほど、これと比例するように殺害される女性の数も増えているのだ。 そして、先述したようなショッキングな事件も起きている。

それはつまり、女性差別が解消に向かうことで、アイデンティティの危機を感じたマチスモの男たちが暴走しているということだろう。

人種差別撤廃運動が進んでいくことでアイデンティティの危機を感じた白人至上主義者が、黒人に対する暴行・殺害事件を起こすのと同じである。

差別は撤廃しなければならない。 だが世の中には、厄介なことに差別を必要とし、差別がなければ生きていけないといった者がいて、その反動は避けられないものである。

アステカ王国時代のメキシコの女性の地位は決して低くはなかったのに、西欧の侵略を受けた結果、極端な男尊女卑社会となってしまった。日本も古代には普通に女性天皇が即位していたのに、シナから儒教文化が入り、明治には西欧文化が入って、侵略もされていないのに男尊女卑社会となっている。

しかし日本でも男尊女卑は撤廃し、愛子さまを次の天皇として、国会議員も半分は女性、そして女性首相が登場するようにしなければならない。 それは歴史の必然であり、そうしなければ日本の未来は立ち行かないのである。

だが、日本から実際に男尊女卑が撤廃され、愛子さまが次の天皇になることが確定したら、それまで強硬に「男系男子」を唱えていた者たちは、その時どうするだろうか?

自分の主張が間違っていたと認め、悔い改めて、男尊女卑の意識を捨ててくれればいいのだが、そんなことはまず期待できない。

何しろそいつらは男尊女卑が脳髄の芯にまで達していて、それが自らのアイデンティティになってしまっている。

男系男子に固執したら皇統が滅びるといくら言っても聞く耳を持たない、すなわち皇統よりも自分の男尊女卑感情の方が大事な者たちなのだ。 どんなに破綻が明らかになろうと、死ぬまで考えを変えることはないだろう。

そいつらは、自分の存在に自信を持てず、「男である」ということにしか自分の価値を見出せない男と、そんな男に媚びて「そこらの女とは違う」と思うことにしか自分の価値を見出せない女である。男尊女卑の価値観が否定されたらアイデンティティが崩壊して、生きていけなくなる者たちなのである。(次ページに続く)

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