防犯カメラ設置後にも容易に施すことができる対策
ただ、これは特殊な例だろう。
私の周りにはいじめの被害者が多いが、被害生徒や児童に話を聞くと、ほぼ100%で防犯カメラが教室にあったらいいのにという。それは、こんな酷いことをされた言われたと被害申告をしても、その時の証拠がないと隠ぺいされたり、加害者の姑息な嘘で無かった事にされた経験を持っているからだ。
一方、加害者は防犯カメラが設置されていることを知っていれば、その場では行動には移しづらいだろう。
誰も被害者にも加害者にもさせないことに防犯カメラは効果があるのだ。
しかし、監視社会という論点を直ちに切って捨てることは、現在の技術ではできない。というのも、録画されてしまえば、これはデータということになり、現在の技術であれば顔認識することもできるし、行動様式の1つ1つを記録して分析することも可能なのだ。
つまり、カメラの記録がある自体、これが悪用されるようなことが、深刻な被害を作り出してしまう要素もあるし、自由な意思をこうした効果で侵害しかねない要素も確かにある。
しかし、監視社会という論点は、防犯カメラを設置する目的や設置するにあたっての透明性を明確にして、技術的側面では、そもそもの記録にマスクをかけて全て黒にすることも可能であるし、具体的な運用面ではアクセス権の明確化や利用の範囲の厳正化をしっかり確保すれば、克服できるはずなのだ。
素朴な疑問として、防犯カメラが教室についていて、そこで着替えた場合、カメラに映ってしまうではないかという疑問も生じ得るが、カメラのスイッチをオフすればいいのであり、物理的にカメラ穴を黒い布で覆ってしまえば、カメラは撮影不能状態になる。
つまり、防犯カメラをつけた後に対策を施すことは容易にできるわけだ。
防犯カメラ等で監視して、その行動から社会信用スコアを決めてしまうということも諸外国ではあるそうだが、そもそもそれも、スコア化しなければいいのであり、目的は犯罪等の抑止と起きた場合の証拠の確保のためとすればよい。
例えば私の事務所には防犯カメラが複数台設置されているがその映像を見るということは滅多にない。何かが起きて、その確認のために映像を見るというのが通常の対応になる。
また、誰も居ないときや訪問者がるときは、しっかりスマホにアラートが鳴る設定をしているので、置き配されたということがオンタイムでわかる。
つまり、目的が明確であれば、その運用も限られてくるわけであり、現状の事件の重さを鑑みれば、防犯カメラは有効であり、犯罪の抑止に繋がるはずなのだ。
今後論争はさらに激しくなるもしれない、こうした論争では、なぜか人格否定や無関係な諸問題で論点をずらすなど議論とは言えない主張も目立つ。できれば、特に有識者の方々には、こどもの安全のために、二度とこうした被害が起きないようにするために何が有効かをしっかりと論じてもらいたい。
【関連】教師から性被害や暴力を受けた生徒は、現場が学校であっても迷わず警察に相談すべき理由
この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ









