移民の大量受け入れ賛成派から見え隠れする「日本人の嫌がる仕事をさせよう」という差別意識が大問題である理由

 

なぜ移民が大問題になることを予測できたのか?

私が予測できた最大の理由は、モスクワで見てきた光景です。

モスクワは寒く、しばしば大雪が降ります。それで、雪かきするのが、とても重要です。雪の日、家を出ると、そこには雪かきをしているたくさんの男性の姿がありました。しかし、その中に白人はいませんでした。では、誰が雪かきをしているかというと、ウズベキスタン人、キルギス人、タジキスタン人など、中央アジアの人たちでした。

建設現場を見ると、ここにも白人はいませんでした。いえ、現場監督は白人(ロシア人)ですが、実際に肉体労働をしているのは、これも中央アジアの人たちでした。

ロシア人のほとんどは、中央アジアの移民たちと仲良く暮らしていました。しかし、一部のロシア人は、「中央アジアの連中が俺たちから仕事を奪っている!」と主張し始めました。

一時期モスクワでは、スキンヘッドの極右集団が大暴れし、外国人を無差別に襲撃、殺したりしていました。ちなみに2010年、私も襲われて死にかけたことがあります。

当時、テレビでロシア人のサッカーファンの言葉を聞いて愕然としました。彼は、「自分のひいきのチームが負けると、スタジアムの清掃をしている中央アジア人に暴力をふるって、気を紛らわせている!」と語ったのです。

差別を感じている中央アジア人やコーカサスの人たちは、身を守るために結束し、マフィア化していきます。さらに、「不当に安くこき使われている」と感じた人たちは、「麻薬取引」などに手を出していました。ちなみに、ロシアで流通している麻薬は、アフガニスタンから、中央アジア経由でロシアに入ってきます。

ある時、車の洗車場で陽気なタジキスタン人が、話しかけてきました。「俺たちは、朝から晩まで車を洗って、食うのがやっとのお金しか稼げない。でも、友達は麻薬のバイヤーをやってリッチに暮らしている。俺はアラーを信じているから、悪いことをしたくないが、そろそろ限界かもしれない。俺も麻薬の密輸をやって、楽して稼ぎたい」というのです。

私は移民問題が気になりはじめ、調べてみました。すると、欧州のとても多くの国で、ロシア同様の問題が起こっていることがわかりました。「日本でもそのうち大問題になるだろう」と思い、2008年に「隷属国家日本の岐路」の中で、そのことを書いたのです。

問題の根源は「差別的動機」の3K移民受け入れ

なぜ、日本や欧米で移民が大問題になるのでしょうか?私の答えは、「差別的動機で3K移民を大量に入れるから」です。どういうことでしょうか?

移民には、大きく二つの種類があります。一つは、高い専門性、知識、技能などをもった移民です。たとえば、ITスペシャリスト、外国語の先生、経営者、ビジネスマンなど。彼らが社会で大きな問題を起こすことは、ほとんどありません。彼らは、定職に就き、十分な給料をもらい、日本に溶け込んで生きています。

もう一つは、3K移民です。日本や欧米、ロシアは、「自国民がやりたがらない3K(きつい、きたない、危険)労働は、貧しい外国人にやらせればいい」という【差別的動機】で、3K労働移民を大量に受け入れています。雇い主は、最低賃金で、あるいは最低賃金以下で3K移民をこき使います。

そして、どこの国でも、高い技能を持つスペシャリストの移民より、3K移民の数が圧倒的に多いのです。欧米、ロシアの例を調べてみてわかったのは、【差別的動機の3K移民大量受け入れ】が軋轢の最大の原因だということです。

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