中国で起きている異常事態。なぜ700万円近いテスラEV新モデルが1日に1万台も売れるのか?

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当サイトでも既報の通り、7月に中国向け最新モデルEV「Model Y L」を突如発表したテスラ。このファミリー層をターゲットとする新型車が、日本円でおよそ680万円という高額にも関わらず、1日あたり1万台の「予約殺到状態」であることが伝えられ関係者を驚愕させています。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』では今回、この事態がいかに「異常」であるかを解説。さらに当車の売れ行きが、テスラ復権の象徴になりうる可能性を指摘しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:テスラModel Y Lが1日の注文1万件?異常事態だが復権の契機?

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テスラModel Y Lが1日の注文1万件?異常事態だが復権の契機?

中国現地メディアによれば、テスラのリアル店舗販売員の話として、先月突如販売を開始した3列6シーター「Model Y L(33.9万元(約679万円))」の予約が殺到している、という。

8月19日の販売開始以来、9月3日までに累計受注台数は12万台に達し、平均すると1日あたりの注文数は1万台近くになっているという。

すでに全国で最初のオーナーへの納車も順次完了している。

30万元を超えると、中国でもBEVは途端に売れなくなり、今までに30万元以上BEVで月販1万台を記録したモデルは一つもない。

その中で、わずか1日当たり1万件程度の予約件数ということが真実であれば、極めて異常な事態。

テスラの中国における熱狂的な人気、低迷期に突入したとされるテスラの盛り返しの契機すら感じさせる。

テスラ初の中国専用車

Model Y Lはテスラ初の中国専用モデルとして、全長5m弱まで拡大、3列目を加えた。

中国専用モデルらしく、内装には中国ニーズがふんだんに取り込まれ、以前までの唯我独尊的なテスラとは一線を画す。

販売員によれば、より広い室内空間と柔軟な後部座席レイアウトにより、子どものいる家庭に非常に適していると評価されている。

もう以前までのテスラのそれではなく、いかに中国市場での激しい競争を痛感、中国ニーズを取り入れようとしているかの表れだ。

それでもほぼ同時に発表されている中国各社の3列SU NEVと比べれば、製品力は落ちると見られていた。

30万元以上BEVの難しさ

報道や、その販売員の話が事実とすれば、販売開始直後の熱狂を加味したとしても、驚異的だ。

30万元以上となると、ごく少数の例外を除き、全長5m越えなど車体が大きくなり、搭載バッテリーも巨大化、一方で、重量が重くなることにより、航続不安も大きくなる。

そのため、面白いほど30万元以上BEVは中国でさえ人気が無い。

この市場で一貫して頑張ってきた蔚来(NIO)も、とうとう楽道(ONVO)による20万元台、蛍(firefly)による10万元台という別ブランドを展開し、盛り返そうとしている。

REEV、PHEVはよく売れる

30万元以上BEVは人気が無いが、逆にPHEVやREEVはよく売れる。この法則が全く不明の時から、理想(Lixiang)はREEVを展開、大成功を収めた。

今ではファーウェイやBYDの高級ブランド騰勢(DENZA)などのREEVやPHEVもよく売れている。

そうした各社がとうとう30万元以上BEVに進出、橋頭保を築き上げるかに見えた中でのModel Y Lの熱狂的な人気の報道である。

おそらく各社は、この情報が真実なのかどうか、あの手この手で確認中だと思われる。

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