リベラルに返ってきた大ブーメラン。カーク氏暗殺を嘲り笑った人物への処分を猛批判する人々が今まで繰り返してきた「キャンセルカルチャー」

 

「女性に多様性は必要ない」と言ったに等しいリベラル

高市氏の政策に批判するのは別に構いませんし、言論の自由として当然のことですが、これをジェンダー問題と絡めると、かなり問題です。リベラル勢からすると、保守的な思想を持つ女性は「女性ではない」ということになるからです。

これはつまり、女性には「多様性は必要ない」ということでもあります。言うまでもなく、保守的な考え方を持つ女性もいますし、そのような人がいてもいいはずですが、リベラル勢はそのような人を女性として認めたくないし、認めない。

しかし、それこそリベラル勢が嫌う「女性」の役割や性質の固定化であり、大きな矛盾です。

結局、リベラル勢は「女性がガラスの天井を破る」ことが重要なのではなく、あくまでイデオロギーが重要であり、だからこそ自分と主張が違う女性は女性認定しないという「女性差別」を展開してしまうのではないかと思います。

イデオロギーや主張によって敵味方を判別するのは別にいいですし、本来は「女性だから」ではなく、能力のある、ふさわしい人が要職につくべきでしょうが、普段は「女性活躍」をうたいながら、いざ自身のイデオロギーに合わない人に対して「非女性認定」するのは、あまりにもご都合主義です。

こうした態度は、「リベラルのキャンセル・カルチャーや言論弾圧は正しく、保守派のキャンセル・カルチャーや言論弾圧は不正」といった傲慢さと表裏一体であり、そもそも自分たちが始めた物語を、今度は敵対側が同じように使ってきただけという点で、あまり同情できる状況にはありません。

とはいえ、やはり自分たちの感情や好悪の気持ちで相手の言葉を封じ、さらには職を奪うといったキャンセル・カルチャーは決して言論の自由にとっていいことではありません。今回は保守サイドからのキャンセルですが、リベラル側も安易なキャンセルは自分に跳ね返ってくることをよく心に刻んでおくべきではないでしょうか。

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