進次郎が兼ね備えている「からっぽさ」ゆえの強み
また、「からっぽ」つまり「空(くう)」であることは、どのような理想も陰謀もペロリと飲み込むことができる、という便利さ?をも兼ね備えています。
進次郎氏が「空」であるのに呼応して、彼に政策や答弁などを手渡す官僚やブレーンたちもまた、同じように心の裡に「空」を抱えているはずです。
と言うのも、前回もお話したように、現在、ヨーロッパやアメリカなどの先進諸国、それもエリート層の間には病的な「ニヒリズム」が蔓延しているからです。
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人間を含むあらゆる物事に「価値」を認めず、従って人生にも「意味」を求めることなく、夢や理想とは無縁に刹那的に生きるのが「ニヒリズム」です。
価値を否定すれば、信ずることができるのは快不快の感覚や反射的に生じる感情だけです。現代社会において、暴力と「金(経済力)」は、刹那的な快楽をもたらす最高位の「力」ですから、彼らが「今だけ、金だけ、自分だけ」という信仰告白に至るのは当然の帰結なのです。
G7の末席に連なる日本の学歴エリートたちも、少なからず、西欧流「ニヒリズム」の洗礼を受けているはずです。そうしたエリート官僚やエリート財界人たちにとって、内面に巨大な「空」を抱えた(ように見える)進次郎氏は、理想的なリーダーなのかもしれません。
しかも、進次郎さんは、自分が「からっぽ」であることを否定せず、柔軟に周囲の意見や提案を受け入れます。もっと言えば、他人からバカにされても平気なのです。
たとえば、「調査では増えているから、増えたかどうか調査する」とか、今時「プラスチックの原料って石油なんですよね。意外にこれ知られてないんですけど」なんてドヤ顔で言ったら、普通、バカにされますよね。
さらに、「毎日寒いですよね。寒いってことは冬だからです」とか「ハローワークに午後から行く予定、ということは無職なんですね」なんて、しみじみ言われたら、「この人だいじょうぶかな?」と心配になってしまうはずです。
それでいて、突然、妙に熱くなって、「日本で1分が過ぎている間にもアフリカでは60秒が経過しているんですよ」なんて切羽詰まった顔でアジ演説を始めるわけです。
そうかと思えば、「未成年飲酒なんて子供のすることですよ」と鼻で笑う。
ですから、お勉強に青春を捧げて来た受験エリートの官僚たちが、進次郎氏に対してなら、内心で優越感を抱きながら安心して仕えることができるのです。
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