進次郎構文「力をパワーに!」の破壊力。有権者どころか全哺乳類に寄り添う“名言”を繰り出せる進次郎の天才的な魅力

 

周囲にあまり矛盾を感じさせない進次郎の「優秀」さ

ニヒリズムが蔓延し、世界が理想よりも「力」で動く時代の政治は、「裏切り」と「手の平がえし」が日常茶飯事となるでしょう。「一貫性」などというものは価値を失うのです。

「君子は豹変す」と言えば聞こえが良いですが、「手の平がえし」が上手で、周囲にあまり矛盾を感じさせないという点でも、進次郎氏は優れています。

彼が得意とするレトリックは「トートロジー」だけではありません。たとえば、「辞任するとは言ったが、辞任するとは言ってない」などと、不思議なことを堂々と言ってのけるのです。

また、何を言っているかよく分からなくても、独特な「説得力(というより雰囲気?)」で、聴衆を納得させてしまいます。たとえば、

「政治には非常に多くの問題があり、時には退屈です。気候変動のような大規模な問題に取り組むとき、それは楽しくなければならず、クールでなければなりません。それもセクシーでなければなりません。それをどういう意味かって説明すること自体がセクシーじゃないよね」

これ以上話すとセクシーじゃなくなる、と強弁して、話を打ち切るところは見事です。後になって、「何でセクシーでなきゃいけないの?」「何の話だったっけ?」と疑問が頭をもたげる人は10人に1人か2人でしょう。

そして、「手の平がえし」をした後は、良心が痛むものですが、そんな時には、これまた進次郎氏の独特な「説得力」で、「真摯な反省」をして見せれば良いのです。

「反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思うが、反省していると言いながら、反省している色が見えないというご指摘は、私自身の問題だと反省しています」

実際、こういう反省の弁を聴いて、彼を正直で真面目な人だと感じる人もけっこういるのです。

「裏切り」が日常化し、政策がコロコロと変わる「日和見政治」で肝心なのは、「説得力」なのです。

しかも、大衆は「論理的な整合性」や「一貫性」、「客観的なデータ」などで説得されるわけではありません。大切なのは「印象」や「雰囲気」、つまり「非言語的」なメッセージに潜む「心地良さ」なのです。

だから、彼のような人に初めて声をかけられれば、多くの人たちは嬉しくなってしまいます。

「初対面の時思ったんだ。まるで初めて会ったみたいだって」

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