玉木が狙うか、高市が取るか。日本政界という“オッサン村”で続く「総理の座」をめぐる目が離せぬ“急展開”連続の日々

 

保守界隈の一角でささやかれている公明離脱の「真の理由」

ただし、そういう状況は今に始まったことではない。石破政権なら公明党は黙って連立を維持し続けただろう。決定的なのは、高市氏が自民党のトップに就いたことであり、高市氏が選任した自民党執行部が創価学会会長、原田稔氏の気にくわないメンバーで構成されているということだ。

副総裁の麻生太郎氏は「公明党不要論」の急先鋒。義弟である鈴木俊一幹事長はその腹心。有村治子総務会長も麻生派だ。おまけに、裏金自民を象徴する存在でありながら、高市総裁実現のために奔走した萩生田光一氏は幹事長代行に起用されている。大ざっぱに言うなら、高市執行部には公明党・創価学会を親中国勢力とみて警戒する面々が目立つといえるだろう。

これに関連して興味深いのは、保守界隈の一角でささやかれている公明離脱の“真の理由”である。

公明党の斉藤代表が10月6日、中国の呉江浩駐日大使と面談。その4日後に連立離脱を申し入れた。この二つの事実を結びつけ、公明党は高市政権の誕生を阻止したい中国の意向を受けて行動していると短兵急に断じる言説がネット上であっという間に広がった。中国にしてみればむしろ公明党が与党のままのほうが都合がいいはずと思うが、熱狂的に信じる人々には通じない。

これとは逆に、高市自民党と台湾との関係を公明離脱の“真の理由”として挙げる政治家もいる。かつて二度にわたる政権交代の立役者となった立憲民主党の小沢一郎氏だ。自公党首会談の前日(10月9日)、「日華議員懇談会」のメンバーが台湾を訪問した。そこに自民党の古屋圭司選挙対策委員長が参加していたことについて、自らの動画チャンネルでこう語っている。

「公明党の本当の離脱理由は政治資金の問題ではない。高市氏の考え方、体質に対する拒否感だ。高市氏の側近がこの時期に台湾へ行ったということ。私は何も“台湾は固有の領土”とする習近平の主張を認めてはいないが、あえてそれを逆なでするようなことをやるという政治感覚。これには公明のみならず誰もついていけない」

さて、自公連立の崩壊で、高市総裁が総理大臣に選出されるかどうかも怪しくなってきた。自民党は臨時国会の前に、国民民主党、日本維新の会を相手として「連立」の交渉をまとめたいところだ。公明が去って、維新とは話がしやすくなった面もあるだろう。

だが、国民と維新は自公に加わることを前提に「連立」についての考え方を組み立てていただけに、いったん立ち止まって構想を練り直さざるを得なくなっている。

衆院における自民党の勢力は196議席で、27議席の国民民主と連立しても223議席。過半数の233議席には足りない。自民に維新の35議席を加えると231議席となり、「高市総理誕生」のラインに肉薄するが、それでもわずかに及ばない。

つまり、野党が結束すれば政権交代できるチャンスということになる。立憲民主党148議席に国民と維新を合わせると、210議席だ。これも過半数には達しないが、自民単独の196議席よりは多い。

立憲民主は今こそ野党が結束して政権交代を成し遂げるべきだとして、玉木雄一郎氏を総理に担ぐ案を国民と維新に持ちかけている。他党の動きにもよるが、立憲・維新・国民がまとまった場合は首相指名選挙で優位に立てるだろう。

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