玉木が狙うか、高市が取るか。日本政界という“オッサン村”で続く「総理の座」をめぐる目が離せぬ“急展開”連続の日々

 

チャンスをみすみす逃せば「腰抜け」と言われかねぬ玉木

立憲と自民の双方から熱烈な連立ラブコールを受け、モテ期の悩みを深めているのは言うまでもなく、国民民主の玉木代表だ。

高市総裁とは安全保障、エネルギー、憲法改正で考えが近く、「年収の壁」やガソリン暫定税率廃止といった政策でも共通の認識を有する。しかも、榛葉賀津也幹事長は麻生太郎副総裁と近しい関係にある。どちらかといえば立憲より高市自民との親和性が高いと玉木氏も認めている。

一方、立憲・維新・国民の連立が成立するなら、高市氏ではなく、玉木氏が総理大臣になる可能性は高くなる。政治家である以上、このチャンスをみすみす逃したら“腰抜け”と言われかねない。

だからこそ、玉木氏は「総理大臣をつとめる覚悟はある」と強調するのだが、問題は国家の基本政策が立憲と相容れないことだ。この違いのためにかつては同じ民主党だったのが分裂を繰り返し、今の姿に至っているのである。立憲に対し玉木氏は言う。

「一緒に政権を作るのであれば、安全保障やエネルギー政策などで同じ方向を向く必要がある」

むろん、立憲のリベラル系議員がこれらの政策で譲歩することはまずないだろう。むしろ玉木氏は立憲にのめない条件を突きつけて、「総理大臣の座」という誘惑から逃れようとしているようにも見える。玉木代表や榛葉幹事長は、石破政権を嫌って自民党から流れてきた保守層の支持を急速に失うことがなにより恐いのだ。

しかし、ここはじっくり考える時だ。国民民主が自民と組むとして、かつての自社さ政権のように、玉木氏に総理の座を譲ってくれるだろうか。高市総裁の性格からみて、それは考えにくい。せいぜい、公明のように閣僚ポストを与えられるだけだろう。それでは、与党に政策実現を迫ることによって高めてきた国民民主の存在感が一気にしぼむだけのことである。

自民は仕返しでもするかのように、次の国政選挙で公明の選挙区候補者に“刺客”を立てることを示唆している。もし、国民が立憲との間で基本政策についての合意を成立させ、それに維新が同調するなら、政権交代のリアリティが一気に高まり、公明もそれに加わる可能性だってありえないことではない。それなら、4党合わせて衆院234議席となり、過半数を上まわる。

玉木氏にとって、総理大臣として政策を実現することのできるチャンスは、この先、二度とめぐってこないかもしれない。

首相を決める臨時国会の召集は当初予定より遅れ、10月21日になる見通しだ。自民は公明の抜けた穴を埋めるべく、国民と維新になりふり構わず連携への働きかけを強めるだろう。これまで政策本位でやってきた高市総裁が日本初の女性総理になるため“オッサン村”でどう立ち回るのか。そして国民民主と維新はどう動くのか。これからしばらく、実に興味深い日々が続きそうである。

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