自民という“ゾンビ”に血を吸いつくされて死滅した維新。高市早苗から「抱きつく相手」に選ばれた“吉村洋文と愉快な仲間たち”の行く末

 

解のない4次元方程式

この(1)~(4)の4次元連立方程式にはたぶん解はなく、調整は「難航する」というレベルではなく「行き詰まる」に決まっている。

(1)のうち大阪については、維新は全19選挙区で勝利していて、そのどこかで維新の現職を取り下げて自民に譲るということにはならないだろう。そうすると自民党大阪府連は衆議院議員を持つことが出来ず、地方議員は離散、組織として壊滅に追い込まれるに違いない。

(4)の自維競合で他党に奪われた67議席については、候補者を一本化すれば獲れる可能性が出てくるのは確かだが、そのほとんどの場合、自民候補者が票数で維新候補者を上回っているだろうから、自民が譲って維新に一本化することにはならない。例えば具体的に、前回衆院選で自維が競合して立民に獲られた北海道1区・2区・3区を見ると……、

北海道1区

1位:道下大樹(立民):108,394
2位:加藤貴弘(自民):80,133
5位 小林悟 (維新):20,000

北海道2区

1位:松木謙公(立民):94,002
2位:高橋祐介(自民):76,835
3位:山崎泉 (維新):32,073

北海道3区

1位:荒井優 (立民):100,136
2位:高木宏寿(自民):83,089
4位:鳥越良孝(維新):21,802

いずれも、自民と維新を合わせると立民に迫るか、やや上回るかするけれども、今回は自民に対する公明の1選挙区当たり最大2万票と言われる協力分が差し引かれるか、もしかしたら立民に上乗せされるかもしれないので、自維を一本化しても届かないし、そもそも圧倒的な票差がある自民候補に一本化して維新候補は撤退するということになった場合、その候補は維新を離党して無所属か何かで挑戦を続けるということになるだろう。

そういうケースがあちこちで出て来ると、維新の地方組織は溶解し、ますます全国政党化するのが難しく、大阪ローカル政党に立て篭もらざるを得ない。このような現実は、すでに自維の地方の現場に突きつけられており、これをいつまでも棚上げにしておくことはできない。私の予想では、これも年内にはっきりさせないと自維双方の地方組織が保たない。

こうして、自維連立は自公連立とは違って、選挙協力によるプラス効果が全く見込めないどころか、競合候補の調整ができるかどうかというマイナスからの出発となり、上手くいけば候補者の一本化に成功するというのが精一杯。

その場合に降りた方の候補を比例代表に回すとか、比例復活に期待するとか、比例枠を活用して調整するのが常套手段だが、維新は他方で比例代表の定数を50人程度削減することを打ち出していて、それが余計に調整を困難にする。

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