再来しつつある安倍政権時代のような息苦しい悪夢の時代
だが、高市は皇統に関してはゴリゴリの男系派だ。男尊女卑に迎合して、男に媚びることだけで生き抜いてきた高市が、それを変えることはありえない。むしろ靖国参拝を取りやめた分、より強力に「男系固執」を打ち出すことは目に見えている。それも、安倍晋三がやったことと全く同じである。
皇統問題は靖国参拝と違って、いくら男系に固執しても外交関係を悪化させることにはならないから、お手軽にネトウヨの支持を固める手段として使えるのだ。
高市が首相である限り、愛子天皇への道は全く拓かれない。それどころか、男系固執をより強固にするための皇室典範改正へ向かってしまう恐れすらあるという状況になっている。
安倍晋三の「劣化コピー」とも揶揄される高市早苗だが、「この女」が首相になったことで、安倍政権が崩壊してから元気をなくしていたネトウヨたちはすっかり勢いづいた。
わずか2週間のうちにネットでは「高市のやることなら何でもOK!」のような空気が出来上がり、少しでも高市を非難しようものなら「反日」「売国」「左翼」「中国人」など、ありとあらゆる罵詈雑言が飛んでくるようになった。そして、そんなネット世論の前に「オールドメディア」もすっかり萎縮してしまっている。
安倍政権時代のような、息苦しい悪夢の時代が再来しつつある。それが、「女」を利用することによってさらに推し進められ、男尊女卑を強化し、愛子天皇への道を閉ざし、皇統を廃絶に向かわせようとしているわけだから、もう最悪だ。
しかも、安倍政権には批判的だったはずの人まで、高市にだったら好意的なのだから、絶望的ともいえる。

ここで戦えるのは、わしとわしの読者しかいないのかもしれない。
日本中が「高市さまは立派な外交をなさった!」と言いまくろうと、わしは今までと同じく「王様は裸だ!あれは●●●●外交だ!」と言うだけである。
他に戦える人がいないのであれば、わしが諦めるわけにはいかない。
(『小林よしのりライジング』2025年11月4日号より一部抜粋・敬称略。この記事は一部を伏せ字にしています。原文のままお読みになりたい方は、この機会にぜひご登録ください)
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image by: 首相官邸









