また麻生太郎が暗躍か?維新の“裏切り者”3人組を「衆院で過半数」獲得のために迎え入れた政治倫理なき高市政権の無節操

 

麻生太郎の差し向けた船に飛び乗った3人が期待したもの

もちろん、この動画を公開したのは、まだ自民と維新が連立するかどうか全く見通せない時期だった。高市氏が自民党総裁になったものの、国会の首相指名選挙で総理の座につけるかどうかはわからず、多数派工作を進めようとしていた段階だ。

公明党が連立を離脱し、それまで自公の有力な連立相手と見られていた国民民主党が及び腰となるなか、維新の存在がクローズアップされてきたが、まだ自民党の方針は固まっていなかった。

斉木氏は、連立するかどうかはともかく、維新が副首都構想の推進と引き換えに高市首相誕生に協力するのではないかと危惧していた。つまり、“大阪ファースト”の政策には反対の意見を表明していたし、自民と維新の連携にも、副首都構想がからむとみて否定的だった。

斉木氏ら3人は離党後、「改革の会」を結成。10月6日には衆院の院内会派「有志の会」(4人)と共同で「有志・改革の会」を旗揚げした。「有志の会」は斉木氏がかつて所属していた旧民主党系の無所属議員で構成されている。一緒に国会活動をするには都合がよかった。少数与党の国会で、この7人がキャスティングボートを握れると意気込んでいた。

ところが、「有志・改革の会」はわずか2週間後の10月20日に解散してしまう。きっかけは、麻生太郎氏が会いたいと言ってきたことだ。もちろん、首相指名選挙で高市総裁の名を書いてほしいという協力要請だった。

これまで野党的な姿勢をとってきた「有志の会」のメンバーと協調するなら断るのが自然だろう。だが、斉木氏ら3人は麻生氏の差し向けた船に飛び乗った。「混乱なく政権を運営するには高市氏がより現実的な選択肢だ」というのがその理屈だ。むろん、「有志の会」側との調整は難航し、結局はもとの「有志の会」と「改革の会」に分かれてしまった。

3人は首相指名選挙で高市氏に票を投じた。この時点で実質的に与党の仲間だ。ここからは邪推だが、親分肌の麻生氏の意に沿うことで、何かを期待したという見方もできるだろう。

斉木氏は昨年の衆院選で、維新から福井2区に立候補したが敗北し、比例復活で3期目の当選を果たした。阿部氏も福岡4区で3位に沈みながらも比例復活した。この二人に、次期衆院選を無所属のままで勝ち抜ける自信があるとは思えない。自民党から声がかかったチャンスを逃したくないという気持ちが動いたはずだ。

もう一人のメンバー、守島氏についてはやや事情が異なる。守島氏は吉村氏とともに維新の改革路線を担い、党常任役員をつとめていたエース級の存在だ。大阪2区選出であり、維新にいる限り選挙に不安はない。自民党寄りの馬場伸幸前代表に批判的だっただけに、“馬場派”とみられる藤田氏が共同代表に就いたことに納得できなかったのかもしれない。

ともあれ、維新とこの3人の間に残る“遺恨”にかまわず、自民党が会派入りを働きかけた背後には、政権の陰の支配者である麻生氏の意向があったとみるのが自然だ。3人は次期衆院選のためにも新たに頼る組織が欲しい。自民は衆院で過半数となるよう数合わせをしたい。もともと双方の利害は一致する。その他の問題は、大物の“一声”で吹き飛ばしたというところではないか。

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