「政治とカネ」問題を棚上げしてでも政権入りを望んだ維新
見る通り、維新は企業・団体献金の「完全廃止」の主張を引っ込め、それについての協議体を25年臨時国会中(12月17日まで)に設置すると共に、衆議院の選挙制度について現行の小選挙区比例代表並立制を廃止して中選挙区制に戻すことを有力案とする含みで選挙制度に関する協議体も来年3月末までに設置するという格好で、いつまでに結論を出すか期限を定めないまま体よく先延ばしし、しかしそれでは余りにも恥ずかしいので、「衆議院の議員定数を1割削減する議員立法を25年臨時国会中に提出し、成立を目指す」ことに無闇に力を入れ、政治改革に熱心であることをアピールしようとしているのだが、自民党も野党もなぜ議員定数削減が目下の中心課題なのか、それが政治改革のどこに繋がるのか、そしてなぜ1割なのか、さっぱり分からないで困っている。
何のことはない、これは企業・団体献金禁止の従来からの主張を棚上げにしても自民との連立にしがみつきたかった維新の「目眩し」に過ぎない。
自民党の方から見れば、維新がその勘所を外してまで連立に馳せ参じてくれたことに感謝感激で、これで旧安倍派を中心とした裏金作りの奇々怪々のシステムや闇に紛れた政治資金の乱脈使途などを血を流して切開しなくて済みそうだと大喜びなのである。
政治資金の使途不明では人後に落ちない維新
とはいえ、維新も政治資金の使途不明では人後に落ちない。維新の政党支部「日本維新の会国会議員団」が24年に、赤坂のスナックで2回「会合」したとして政治資金から計27万7,000円を支出していたことが明らかになったのに続き、大阪7区選出の奥下剛光衆議院議員が23年に、東京・赤坂のキャバクラに3万6,300円、大阪市のラウンジに5万7,200円、東京・六本木のショーパブに3万3,000円を政治資金から支払っていた。
政治とカネの問題を連立合意から外したかったという点では維新も同じだったのかと思ってしまう。
奥下は、宮沢喜一元首相や橋下徹元大阪市長の秘書も務めていたというから、それほど馬鹿ではないと思うが、政治活動をするような場でないことが誰の目にも明らかなスナックやキャバクラやラウンジやショーパブ〔こういうカタカナ名のどれも女性が侍るらしい酒場のどこがどう違うのか、国民の多くは知らないが国会議員は詳しい?〕で遊びたいなら遊べばいいけれども、どうして国民からの預かり金である政治資金でそれを賄うのか。
橋下徹が前によく言っていた「『飲み食い政治』はもう止めよう」など冗談に聞こえてしまうほどの維新の腐敗というか、“自民党化”である。その実態を知る吉村洋文代表は、結局、政治とカネの問題には深入りしないことで高市と手を握り合い、そのままでは格好がつかないので「議員定数の1割削減」を突き出したのではなかったか。
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