巨大国家インドの「地域」を知る。南インドと日本を結ぶ「人」の物語

 

神奈川県はシンガポールの駐在事務所がインドを担当し、企業誘致や人的交流を推進しており、最前線の活動を神奈川県東南アジア事務所に駐在する仁谷浩之氏が紹介した。

インド側からは、ベンガル─ルのセントジョセフ大学社会学部のチャンドニ・バンブハニ博士が、南インド4州での居住地の分断(レジデンシャル・セグリゲーション)を検証し、都市の中心部におけるカースト階層の回復力と適応性が示されると言及した。

低いカーストの人々は、引き続き資源の乏しい非公式居住区に住み続け、分断の程度は、大都市、中規模都市、小規模都市間で異なるという。

チェンナイにあるステラマリスカレッジのパドマ博士は、新型ウイルスによるパンデミック下では女性へのドメスティック・アビューズ(DV)が増加し、医療システムの過負荷により被害者への医療的ケアが困難になった事実を紹介した。

多くの女性が虐待による身体的・感情的な傷を負っている事実を突きつけた。

同カレッジのシンシア・ジュード博士は、南インド各州の特徴、社会経済的、文化的背景を示し、各地域で違った公衆衛生・草の根・デジタル・宗教団体の対応や地方自治体の役割を説明した。

パンデミックは雇用の喪失や移住労働者の離散、教育の中断、メンタルヘルスの危機に代表される長期的な影響が生じており、それは深い傷跡を残しているという。

一方でコミュニティ主導のネットワークや女性の自助グループ、宗教団体が回復とレジリエンスで重要な役割を果たていることも指摘した。

南インド・マンガロール出身の上智大のアルン・デゾーサ博士は、日本には伝わらないインドの地域レベルでの危機への対応やその多様性を再度確認し、南インドとの関係を深化させていくために重要な情報を共有したことを評価した。

私自身、学術レベルで南インドとの交流が始まったことを再認識し、今後の出会いと展開が楽しみである。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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