いじめ関連の事件で頻繁に起きる「アホの極み」のような事態
およそ50分間ほどの栃木県教育委員会が行った記者会見の内容も確認したが、「いじめの疑い」があり現在調査中、調査の聞き取りなどは学校がやっている、などあまりにも当事者意識の欠ける内容であった。
だが、正しい専門知識を持つ専門家がこの内容を聴けば、即座に法律運用と解釈に誤りがあることにきがつくだろう。
そもそもこの件は、深刻な暴力事件であると解される。遊びであったと後に全員が口をそろえたとしても、口裏合わせを完全に否定できるようになるまでは、一方的な暴力事件であり、はやし立てなどがあった様子は明らかなわけだから、集団的な暴行と解しても乱暴な解釈とは言えないだろう。
これをいじめ防止対策推進法でみれば、第2条のいじめの定義の条件にはおおよそ合致し、28条の重大事態いじめにも合致するのだ。重大事態いじめとは生命身体財産などに深刻な被害があるもしくは不登校になってケースのことで、第三者委員会による調査となるケースのことだ。
私が専門家として、28条重大事態となると断言するのは、この重大事態は、「疑い」が条件だからだ。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命,心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
(いじめ防止対策推進法第28条より)
日本語を読解できる読者の方なら、もう理解しただろう。
つまり、法律の要件としては、疑いで重大事態は成立するのであって、確定事実があるから重大事態が成立するのではないのだ。しかし、多くの学校、教育委員会、教育委員会に雇われてうまい汁を吸っているチューチュー専門家は、確定事実によって成立するというように実態を歪め続けてきた。マスコミ記者さんの中でも非常に熱心な方は正確な知識で判断しているが、これはごく少数で、多くの記者は「考えるな発表を書け」の如き報道で、誤りを正そうとしなかった。
栃木県教育委員会の記者会見で、県教委担当者は、現在調査中を盾に、いじめであるとも重大事態であるとも明言を避けたが、上の説明の通り、いじめであり重大事態であり、暴行事件であるのだ。
時に、いじめというと「いや暴行事件だ」といちいち否定してくる面倒くさい脳の層がいるが、物事は「OR」ではない、学校関連法としては「いじめ」「暴行」「非行問題行為」の少なくとも3つが同時に成立しているわけで、いじめと言ったら暴行が消されるわけではない。どっちかではないのだ。
さて、話を戻そう。
つまり県教委担当者が、記者会見で話したことは、そもそも重大事態いじめが疑いで成立すると明記されている法条文を理解していないか知らないか、知っているが認めない、のいずれかだが、調査中を盾にしたことでわかることは、「疑いの調査」をするという意味不明なロジックを主張したことになるわけだ。
こうしたアホの極みのような事態は、こうしたいじめ関連の事件では頻繁に起きるのだ。
結果、実際は重大事態いじめであり、被害態様は犯罪被害であるのに、一切を封じられ、わかりやすい誤った解釈によって「いじめ」ですらないとされる被害者が量産されている。つまり、正しい判断がされず、正当な被害者がバカを見るような仕組みに歪められていて、被害申告をするのにもハードルが高すぎるのだ。
だからこそ、被害を被害としてしっかり判断されるSNS上からの告発の方が圧倒的にハードルが低く、アホ判断はだいたい回避できる状態にあると言えるわけだ。
また大分市のケースでは、隠ぺいされそうになって居ての告発だとの情報がある。これが事実であれば、被害側やいじめを良しとしない告発者が隠蔽されないために起こした行動であるとも捉えることができる。
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