劇薬的であるとも言えるSNS上での「いじめ暴行」告発
SNSからの告発は効果絶大であることは、私が言うまでもない。ただし、私はこの告発を推奨はしない。しかし1つの方法論として、どうしようもない人は活用を検討してみてよいと正直なところ思う。それは、問題提起の難しさを知っているからであり、現行法や司法行政の甘さや改善されなければならない問題を知っているからである。一方で、被害側は冷静に正攻法で正々堂々と立ち向かってもらいたいし、それを私はサポートしている。
SNSからの告発は、劇薬的であるともいえるだろう。被害の動画が拡散されれば、これは同時に被害者が被害を受けたことに関するデジタルタトゥーともなるし、トラウマのトリガーとして残り続けるかもしれない。
本来対応すべき司法や行政、学校が炎上鎮火の力を入れて、問題をさらに隠蔽する可能性も否めない。無関係の生徒や誤情報の拡散が他の被害を発生させたり拡張してしまうかもしれない。一方的な正義感で突っ走る第三者がさらなる告発をして、訴訟リスクに曝されるかもしれない。
また、私が知る限りの事だが、今回のようにインフルエンサーが取り上げてくれて上手くいくこともあるけれど、SNSの情報の波の中で陽の目も見ず消えていく情報になるかもしれない。
過去、私は『世界仰天ニュース』という番組に協力し、いじめ被害の実態を案内した。その際、これが視聴率の高い番組で、同時にネットも動くだろうと予測していたが、まさか被害者に鉾が向くとまでは思っていなかった。
確かに、被害女子高生は、加害者がその容姿に嫉妬していじめをしたほどで、放送では容姿が整っているなどの情報が流れた。それがネット民の一部の興味に触れたようで、被害者のSNSのアカウントが瞬く間に特定された。これが拡散され、被害者側の情報がネットに流れてしまった。
誹謗中傷はほぼ受けなかったし、他のネットユーザーが被害者を晒すのをやめろと大合唱してくれたおかげで、情報の消込は効果的に進んだが、危うい事であったと反省した。
私刑をしたい一定のネットユーザーがいるのは事実だが、その行為がいかに正義感からの事であっても法的リスクが伴うことも理解してほしいところだ。
事実上の「隠ぺい委員会」が調査をするというケースも
暴行動画の拡散から、別の暴行動画などが投稿されてきている。告発に協力しようというインフルエンサーも他に出てきているようだ。
上にも書いたように、実際は深刻な問題であるのに、無かった事のように隠ぺいされている人が無数にいることがわかる状態だということだろう。
告発には確かにリスクはあるが、そのリスクよりもはるかに被害側が当たっている問題は深刻なのだ。
しかし、よく考え欲しいのは、告発が成って、事件化していった場合、結果として、そもそもの法制度に戻るわけだ。
当初は話題性もあって一定の衆人環視の状態も働くが、事件は無数におき、人々の関心事も移り変わっていく中、そもそもの法制度が甘いわけで、結果上手くいかないという可能性もあるのだ。
問題は山積みだ。
冒頭に示したように、誤った運用は頻繁におき過ぎて、誤った運用が本来の正当な運用のように取り扱われてしまっていたり、第三者委員会の設置と言って、関係者しかいない事実上の隠ぺい委員会が調査をするというケースもあるのだ。そしてこれを自治体の制度として当たり前のように運用している市区町村もある。
その典型が、――(『伝説の探偵』2026年1月9日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方はぜひご登録ください。初月無料でお読みいただけます)
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