そこでAさんが始めたのは、“営業スタッフ一人ひとりに声をかける”ということ。
毎日、営業スタッフを観察していると「彼は最近元気がないな」ということが見えてくる。
タイミングを計り「最近、困っていることはない?」もしくは「何か引っかかっていることはないか?」と声をかけるようにした。
今まで忙しくて十分できなかったこと。それが今はできる。
- 時間をかけてじっくり話を聞く
- 相手の遮らない
- 結論を急がない
などなど。
時間的に余裕があるのでじっくり話が聞ける。
すると次第に問題点が明確になる。
そして、自分の経験をもとに「この場合はこう考えたほうがいいぞ」と的確なアドバイスができるようになった。
こうなると当然Aさんへのニーズが高まる。
営業スタッフたちは、次第にAさんのもとへ集まるように。当然のことだろう。
もちろん上司は別にいる。
だが実際に、「困ったらAさんに相談する」という流れが自然にできていった。
気がつけば、事実上の上司のような存在になっていた。
こうなると、さすがに会社も評価せざるを得ない。
しばらくして、Aさんは以前よりも“上のポジション”に返り咲いたのだ。
Aさんは笑いながら「人生最悪の日が、実は人生最高の日だったんです」と話してくれた。
Aさんは重要なポストに就いてからも「部下の話をじっくり聞く」ということを続けた。
もちろん今でも活躍している。
この話を聞いた時、「何がきっかけになるかは、本当に分からない」と痛感した。
どんな人でも「これは最悪の事態だ」と思うような出来事に遭遇する。
そのことについて、あとから振り返ると“大きな転機”になっていることがある。
これは私自身も経験している。
営業スタッフ時代のこと。ダメ営業スタッフからトップ営業スタッフになった。嬉しかったし、夢のようだった。
その際、知らず知らずのうちに“謙虚さを忘れた”ということを否めない。
だんだんと権力のある上司から目を付けられるように。
それから、しばらくして住宅展示場から外された。
営業にとって展示場は“お客様と出会う”という大切な場所だ。
いわゆる主戦場。
そこから外れるということは新規の情報が得られないことになる。
営業にとって致命傷だ。
かなりショックだった。
さすがのその時は「もう終わったな」と諦めたものだ。
しばらくは腐っていた。
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