複雑さに耐えられなくなった国が起こす大きな破綻
さて、本稿の最終作業を進めている途中で、新しいニュースが入ってきました。トランプ大統領は、CBSのインタビューの中で、
「イランは戦闘能力が残っていない。事態は予定より大幅に早く進行している。戦争はほぼ完了した」
と述べたのです。根拠は分かりませんが、とりあえず大統領がそう言ったということで、一気に原油価格は反転し、1バレル110ドルから100ドルを割る水準に降下しています。これを受けて、NY株も大きく上げてS&Pが0.83%アップ、ナスダックに至っては1.38%上昇、ダウも朝方の下げを帳消しにしてプラスに転じました。
トランプ大統領は、「プーチンとの対話もしたので、ウクライナ和平も近い」などと言っていますので、余計に原油価格の見通しは下げる方向になったということもあります。そんなこんなで、現地の月曜日(9日)の動向としてはこのような格好となっています。
ですが、このまま全てが安定していくとは限りません。それこそ事態は日替わりで動いていく中で、とりあえず1週間半先に迫った日米首脳会談については、事務方の折衝が進んでいると思われます。そんな中で、高市首相の口からは「ホルムズ海峡の現状は存立危機事態ではない」という発言が出ているわけで、日本側としても情報が刻々と変わる中で対応を相手方と折衝しているはずです。
そうではあるのですが、今回議論したように、中東においても、東アジアにおいても非常に複雑な方程式が成り立っています。自衛隊に対するペルシャ湾でのタンカー護衛への参加要請がある可能性は、まだまだ消えた訳ではありません。そんな中で、複雑な方程式について、少し考えただけでは、共通解ないし最適解というのは、見えないように思えます。
しかしながら、歴史の示すところでは、大きな破綻というのは、このような複雑さに耐えられなくなった国が問題を単純化するために起こすわけです。日本はそのような立場に追い込まれない、そのことが非常に重要になってくると思います。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2026年3月10日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。今週の論点「イラン動乱で動揺するパキスタン」「当選者へのカタログギフト、何が問題なのか?」、人気連載「フラッシュバック81」もすぐに読めます。
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- 【Vol.629】冷泉彰彦のプリンストン通信 『中東と東アジアの連立方程式』(3/10)
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