世良公則「燃えろ、サナエ!」で大盛り上がりの自民党大会が象徴する“愛国ごっこ”政治の末路

 

“愛国ごっこ”で問題を作る政治

他にもうんざりする文章が山ほど書かれていたが、要するに「立党70年、自民党は現実から目をそらします!」という宣言である。 だが、目をそらし、居心地の良い幻想にしがみつきつづければ、現実とのズレや歪み、空虚感、引き裂かれるようなコンプレックスが必ず生まれる。その痛みを埋めるために処方されるのが、ネトウヨの大好物である「愛国」という物語だ。 4月9日、高市肝入りの「国旗損壊罪」について自民党本部会合が開かれ、その席で、岩屋毅前外相が「立法事実がない」「政治的なアピールのための立法」「憲法が保障する内心の自由、表現の自由、最も守られるべき憲法法益に照らして適切ではない」と異議を唱えたという。 まったくその通りだ。実際に国旗損壊が社会問題になっているわけでもないのに、わざわざ取り沙汰して刑罰を設けようというのだから、高市は「愛国の演出」のために問題をでっちあげているとしか言いようがない。 浅はかなネトウヨ的権力欲を燃やして、「愛国の旗手」を気取りたがる。程度の低い、幼稚な自己満足。さながら”愛国ごっこ”である。 そもそも、「日本」「国旗」への思いがそれほど強いと言うのなら、まずは日本の象徴たる天皇に真摯に向き合うべきだ。ところが高市は、天皇を軽んじて、そのお言葉を拝聴することも、お気持ちを忖度することもしない。国旗損壊どころか、皇統断絶、天皇制崩壊という日本史上最悪の罪を犯そうとしている。

孤立深める高市の「強い日本」幻想

雑誌では、高市が、周囲に「何としても日本の存在感を示さなあかん」と言って、トランプの要請に応じてホルムズ海峡へ自衛隊を派遣しようとしていたことが報じられている。イランと戦争する気だったのだ! 現実の世界の変化も、後先どうなるかも、憲法も制度も冷静に見極められず、ただただ「存在感」を示すために「強い日本」を演じたいという衝動だけが先走っているのだから、高市早苗が首相であること自体が、日本の存立危機事態だと言える。

だが、自衛隊派遣については、会議の席でコバホークこと小林鷹之政調会長に猛反論されたり、側近らに諫められたりする出来事があったらしい。高市はすっかり孤立を深め、疑心暗鬼に陥っているという(月刊誌『選択』4月号)。 官邸では1人で小部屋に閉じこもり、タバコを吸いまくりながら電話も無視して過ごしているので、周囲も連絡がとれずに困っているという話もある(『週刊文春』4月16日号)。 2月には、「トランプ氏に会うため」に2度歯科に通って、数時間かけてタバコで黒ずんだ歯をホワイトニングしていたという話まで流出していた。 予算委員会を欠席して批判を浴びておきながら、トランプと会うために歯を白くしていたとは言葉を失うが、こうしたイメージダウンにつながる情報が次々と漏れてくること自体、官邸内に高市に対する不信感と苛立ちが広がっている証拠でもあるのだろう。

そりゃ世良公則に「燃えろ、サナエ!」と歌ってもらえば、さぞ気分も高揚したことだろう。維新の吉村に「私を褒めちぎって」と耳打ちしたのも、内面の不安を隠しきれない人間の言動だと思えば合点がゆく。 このような中で、高市にとって党内を固められる格好の材料が「旧宮家系男系男子の養子案」になってしまっている。愚かなネトウヨとサナ活民の圧倒的支持を背景に主導権を握り、皇室典範を改正して喝采を浴びたいという、浅ましい自己顕示欲である。

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