世良公則「燃えろ、サナエ!」で大盛り上がりの自民党大会が象徴する“愛国ごっこ”政治の末路

 

英『フィナンシャルタイムズ』が断じた「NOと言えない日本」

日本の「存在感」を示すために、高市はトランプと一体化してイランと戦争するつもりだったわけだが、それを身内に諫められたからといって、憲法9条に頼ってごにょごにょと自衛隊派遣を断ったり、アメリカにゆすられるまま、カネと日本企業を差し出したりする必要などなかった。(第394回「『対米投資80兆円』という”日本ゆすり”」に詳報) 単に「イラン攻撃は国際法違反である」と堂々と言えばよかったのだ。 実際、「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ♪」と媚びてみせてからわずか2週間後、そのドナルドは「戦争に参加すると思っていた同盟国が参加しなかった」「誰が助けなかったか知ってるか? 日本だよ」と発言し、「日本には5万人の米軍が駐留しているのに」とイヤミまで付け加えている。 一方、アメリカに対して「国際法違反の戦争には協力しない」と真正面から猛抗議したスペインは、トランプから脅されはしたものの実際の制裁は行われず、その後のEU諸国の動きにも影響を与える存在となっている。 高市の媚米は失敗した。それが現実である。

イギリスの経済紙『フィナンシャルタイムズ』は、一連の出来事を分析し、日本を「トランプにNOと言えない国」と論評している。

記事では、高市がいくら媚米外交を展開してもトランプから非難されているという事実を「高市首相にとっての危機」とし、日米関係を「ほとんど虐待的な関係になりつつある。日本が相手を喜ばせようとすればするほど、扱いは悪くなる」「これは用心棒ビジネスだ。日本は恐喝から逃れられない」と分析している。 また、イラン攻撃に関してはトランプから挑発や非難を受けている一方で、高市の台湾有事発言で中国を激怒させた件についてのトランプの反応は、「耳をつんざくほどの沈黙であった」と表現した。 ゾクッとする書き方だ。 沈黙とは、単なる無言ではない。日本には、実は「現実」というけたたましい警告音が鳴り響いている。だが、その警告音に耳を塞ぎ、「日米同盟」という幻想の中にしゃがみこんでいようとする姿勢を、海外紙に的確に見抜かれているのである。 そして記事は、1989年に刊行された『NOと言える日本』(石原慎太郎と盛田昭夫による共著)に触れ、「すでに絶版で再刊される価値すらなくなっている」とし、2026年の日本はその真逆となって、「高市早苗は『NOと言えない日本』を率いている」と指摘している。 このぐらいの指摘は、日本のマスコミにこそやってもらいたい。

幼稚で浅はかな自己顕示に執着して「存在感」と「強い日本」を演出しようとするものの、現実の世界ではまったく通用していない。そして、「対米依存症」という病理が引き起こす苦痛を和らげるクスリとして、高市早苗は「愛国」という物語を持ち出している。このクスリは中毒症状が強く、摂取すればますますネトウヨまっしぐらだ。 「クスリやめますか? 人間やめますか?」 「ダメ、ゼッタイ。ネトウヨは妄想から抜けられなくなる恐ろしい病理です」 こんなネット広告を打ちたくなるほどだ。日本の行き先は、現実を見られるかどうかにかかっている。(『小林よしのりライジング』2026年4月14日号より一部抜粋・敬称略。このほか、小林よしのりさんの記事「ゴーマニズム宣言」はメルマガご登録の上お楽しみください)

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