「トランプはもう本物の狂人だ」AI画像で自らをキリスト化、幼児退行する米国大統領をネタニヤフが操る悪夢

 

トランプを自在に操るネタニヤフ

それがなおさらまずいのは、トランプが出口を見失って焦れば焦るほど、周りから人が去り、ごく少数のイスラエル人脈のみに囲まれて「毒を喰らわば皿までも」という破れかぶれに突き進んで行きかねないことである。

日本経済新聞4月16日付の河浪武史=ワシントン支局長の「トランプ氏、虚栄心の誤算」という記事は、WSジャーナル4月7日付に載ったリンゼイ・グラム上院議員の自慢話満載のインタビュー記事を土台にしたものと推測されるが、それによると、もともと中東への軍事介入を嫌っていたトランプを説得して変身させたのはグラム議員を中心とする外交タカ派グループだった。

グラムはトランプの長年にわたるゴルフ仲間で、2人でいる間中、「イランの崩壊はソ連崩壊と同じ重みがある。中東に1000年に一度の変化を起こすのだ。そうすれば君は〔冷戦を終わらせた〕レーガン(元大統領)を超越できる」と囁き続けた。今年1月にイランで反政府デモが起きると、ここで米軍が一撃を加えればたちまち「体制転換」が起きるかの幻覚にトランプを誘い込み、SNSに「抗議を続けろ。必ず助けが来る」と激励する投稿を行わせたのもグラムだった。

このグラムを中心とするタカ派グループには、FOXニュースのアナリストのジャック・キーン元陸軍大将、ブッシュ子政権でスピーチライターを務めたネオコン系の評論家でワシントン・ポストのコラムニストのマーク・ティーセンが含まれていた。彼らの背後にいるのは、もちろんイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相である。

こうして見ると、今の政権の有り様は、ブッシュ子政権の中枢にネオコンと(一部重なりながら)ユダヤ人タカ派が入り込んで米国をアフガニスタンとイラクに対する戦争に引き摺り込んだのと、全くと言っていいほど同じ構図となっていることが分かる。ご記憶と思うが、とりわけ理不尽極まりないイラクへの侵略とサダム・フセインのなぶり殺し、結果としてのイラクの国家破壊、副産物としてのISテロ集団の発生へと米国を迷路に導いた最初の一石は、イスラエル諜報機関が用意した「イラク亡命者」による「サダム政権は大量破壊兵器を隠し持っている」という嘘の”証言”だった。

それと同じパターンが、今回の「イラン神権政権は今にも核弾頭とそれを米国にまで打ち込める長距離ミサイルを完成させようとしている」という与太話として繰り返されているのである。

「憎悪の塊」というネタニヤフの異常性格

ネタニヤフは、米国留学中の1976年にイスラエル軍の将校だった兄のヨナタンをアラブ過激派によるハイジャック事件で失っている。やがて学業を中断して帰国し、テロリストへの憎悪に燃えて政治家への道を歩み始め、1996年の総選挙でリクードを第一党に導き、初めて首相となる。以後今日までの30年間の3分の2近くに渡り第1次から第6次までの内閣を率い、その総力を挙げてイスラエルの存続を脅かしかねない「敵」ーーまずはイラク、シリア、そして最後にイランの殲滅を目指してきた。

《図 https://bit.ly/4theg93 》は、ネタニヤフが導火線に点火された爆弾の絵を示して「イランの核開発がもはや完成目前に達しようとしている」として国際社会の共同行動決起を煽動している場面だが、これをいつのことだと思うだろうか。2012年9月27日の国連総会のことで、実はこの時、彼の目の前の席はほとんどガラガラで、誰も聴いていない。テレビ映りだけを目的としたパフォーマンスで、専ら米国政府に対してこれを訴え、そのあとニューヨークからワシントンに移動して米と首脳会談を行う段取りが進められていた。しかし時のホワイトハウスの主はオバマ大統領で、彼は「こんな奴とは会いたくない」と拒絶してネタニヤフに恥をかかせたのだった。

この《図》を見ると分かるように、ネタニヤフにとっては今から14年前にもイランの核は「90%」の完成度だったが、今もそうである。同じ偽情報を与え続けて、バイデンのボケ程度ではまだ乗せきれず、ようやく第2期トランプ政権に至ってまんまと米国を引き摺り込むことに成功した。このネタニヤフの執念こそ凄まじい。

このようにして米国はネタニヤフの手玉にとられ破滅の道を突き進んだ。世界のほとんどの国はこの構図を理解し、さあて、それでは「米国抜きでどうやって生きていくか」を考え合おうとしている。その時に独り高市の日本はトランプに抱きつくことで生きられると錯覚している。真の意味のインテリジェンスを欠いた国の運命がこれである。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年4月20日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

 
 

image by: The White House - Home | Facebook

高野孟この著者の記事一覧

早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 高野孟のTHE JOURNAL 』

【著者】 高野孟 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週月曜日

print
いま読まれてます

  • 「トランプはもう本物の狂人だ」AI画像で自らをキリスト化、幼児退行する米国大統領をネタニヤフが操る悪夢
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け