「中国こそが世界の中心」をアピールか?米トランプと露プーチンを相次いで出迎えた習近平の目論見

 

西側メディアが真剣に取り上げぬ中ロ会談から見えてくる意図

思い出されるのは、米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(2023年6月号)の論文だ。そこには「中国にとってロシアは『必要不可欠なジュニアパートナー』でもある」という表現が見つかる。

なぜ、中国優位の中ロ関係にあって中国にとってロシアが不可欠なのかといえば、それは中国が「地球上もっともパワフルなアメリカとの長期的な対立に備えつつある」からだというのが、この根底には見え隠れする。

これも西側メディアで一致する見方といえるだろう。

例えばBBCは「西側が率いる秩序への抵抗という価値観を共有している」と表現し、ドイツのテレビZDFはより明確に「今回の訪問の目的は、権力と影響力、そして西側世界に対する明確なメッセージを示すこと」と解説している。

先述したワイス氏も、「イランや北朝鮮も含めた権威主義を代表する枢軸を代表する二人は、これからもアメリカに立ち向かってゆくでしょう」と予告した。

だが、中ロは本当にアメリカやその同盟国が担ってきた国際秩序と対抗しようとしているのか、といえば私には疑問だ。

西側メディアは、中ロ両首脳が何を語り合ったのかを真剣に取り上げようとせず、その意図を批判的に報じているが、中ロの会談から見えてくるのは、むしろアメリカが破壊する世界への警戒だ。

習近平国家主席は、会談で「現在、国際情勢は混迷し、一国主義や覇権主義の逆流が横行しているが、平和を求め、発展を図り、協力を促すことが依然として民意の向かうところであり、大勢の赴くところだ」とプーチン大統領に語りかけているが、これはアメリカ批判であって挑戦ではない。

もしソ連崩壊から経済発展した中国が旧ソ連の国々に野心を向けていれば、現在のような中ロ関係にはならなかったはずだ。

その点で中ロは現在の関係を一つの平和のモデルと位置付けている。

この認識柾は、ロシア・ウクライナ戦争の原因をNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大だとする見方と、ロシアの領土的野心に帰結させようとする西側との見解の違いにも似たすれ違いだ。

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2026年5月24日号より。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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