高市早苗の傲慢さが招いた“空転”。国会軽視で民主主義を「停止状態」に追い込んだ首相に問われる政治姿勢

 

高市首相が触れられたくない「いくつもの問題」

むろんそれだけではない。サナエ・トークンや誹謗中傷動画をめぐる疑惑、そして木下秘書の参考人招致など、触れられたくない問題がいくつもあるからだ。だが、首相が国会から逃れたいと、もがけばもがくほど、野党の追及が厳しくなるのは自然の理である。

6月22日の衆院予算委員会。中道改革連合の後藤祐一氏が高市首相に質問した。「高市事務所の木下秘書らが、松井氏らとLINEグループのメンバーになったのは間違いないか」。松井氏とはもちろん、サナエ・トークンの開発者であり誹謗中傷動画の作成・拡散者である。

このときの高市首相も質問には答えず、後藤氏の持ち時間が削られるのもかまわず、滔々と自分の思いを語り続けた。

「何カ月も外交、安全保障、経済対策、成長戦略について私も歯を食いしばって働き続けてまいりました。これからもそういたします」

「私は30年以上衆院議員を務め、総裁選挙にも3回立候補しましたけれど、他の候補を中傷したり批判したりするようなことはせず、ひたすら自分の政策を訴え続けてまいりました。これは私自身の政治家としての矜持であり誇りでもございます…」。

そして、最後に出してきた“奥の手”が「陳述書」だった。

「近日中に、奈良の秘書の陳述書と、暗号資産に関する記述などどこにもない相手企業から送られてきた唯一の提案書、これを予算委員会の理事会に提出させてください。それをもって本件に関する詳細な問いへの答弁とさせていただきたいと考えます」

国会で答弁をせず、その代わり「陳述書」を出すという前代未聞の申し出に、自民党内にすら驚きの声が広がった。「国会答弁」という機能が、首相の恣意的な判断によって「書面の提出」へと矮小化されたのだ。議員や参考人が意見陳述書を提出することはあっても、首相が答弁の代わりに陳述書を提出してことを済ませた例は過去に一度もない。

本来なら、坂本哲志・予算委員長(自民党)が一蹴すべきところだが、「陳述書を私が預かり、理事会でご協議いただきたい」と引き受けてしまった。

今の国会運営は「数の力」による決定に偏り、意見の異なる者との対話プロセスがないがしろにされている。それが、いかに国会の質を低下させているか。首相への忖度を優先する議事運営には強い疑問が残る。

当然のことながら、野党は一斉に反発した。首相の国会軽視を容認するべきではないからだ。参院だけでなく、衆院の野党各党も集中審議と党首討論、木下秘書の参考人招致を要求した。

衆院の野党5党が結束して審議拒否に踏み切ったのは26日の午後に開かれた衆院議院運営委員会の理事会がきっかけだ。

与党側は衆院定数削減法案と副首都構想の関連法案を審議したいと提案したが野党側は応じず、自民党の山口俊一議院運営委員長は職権で議院運営委員会を開催。野党がこぞって欠席するなか、二つの法案を特別委員会に付託することを自民・維新両党の賛成で決定した。

定数削減法案と副首都構想関連法案は、言うまでもなく連立の最重要課題として掲げる維新の看板政策だ。いずれも、野党のみならず自民党内でも反対意見が多いのだが、公明が抜けた連立の穴を維新が埋めたことによって総理の座をつかみ取った高市首相としては、その恩義に報いて連立を安定させるためにも、約束を守っている形をつくりたいところだ。

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