高市早苗の傲慢さが招いた“空転”。国会軽視で民主主義を「停止状態」に追い込んだ首相に問われる政治姿勢

 

国会正常化のため「姿勢を改める気配」など皆無の首相

「陳述書」といい、強引な国会運営といい、議会制民主主義の根幹を揺るがすような高市自民党の姿勢に対し、中道改革連合、国民民主党、参政党、チームみらい、共産党の野党5党が珍しく一致結束したのは、国会の信用を守るうえで、当然のことといえるだろう。

参院では防災庁設置法案、再審制度の見直しを含む刑事訴訟法改正案、個人情報保護法改正案など重要法案が審議中だった。衆院では国旗損壊処罰法案を野党欠席のなか、むりやり衆院通過させたものの、このままの国会情勢が続けば、今国会中の成立が危ぶまれる重要法案がいくつも出てくる可能性がある。

だが、国会正常化のために高市首相が姿勢を改める気配はいまのところ皆無だ。おまけに7月1日から3日までインドを訪問し、モディ首相と首脳会談を行う予定になっている。

7月17日に会期末が迫る中、維新肝煎りの定数削減法案と副首都法案は、与党議員だけが出席した衆院の特別委員会で審議入りした。「今国会で是が非でも成立させる」というポーズを維新に示したいのだろうが、参院が少数与党だけに、成立は見通せない。

30日に国会へ提出された皇室典範改正案については、麻生太郎副総裁が躍起になっており、党としての本気度がより高いとみるのが妥当だ。麻生副総裁が維新の藤田共同代表と直々に会談して合意を取りつけている点からも、維新の看板政策をバーターとして処理しつつ、本丸である皇室典範改正案を通したいという政権側の計算が見え隠れする。

むろん、どれもこれも衆院での「再議決」を前提として問答無用で審議を強行するわけにもいかないだろう。

衆院で与党は352議席を擁し、「3分の2」を楽に超えている。理論上、「再議決」による法案の成立は容易だ。しかし、参院を無視してそれを繰り返せば、「衆院の独裁」と見なされ、参院自民党からも反乱が起きるリスクがある。「再議決」は、これを通さなければ政権が倒れるという究極の場面で使うべき武器なのだ。

そもそも、この「再議決」を使うにも、参院での「否決」というステップが必要だ。参院の審議が止まっている現状のままでは否決の段階にすら達しない。

このため、「法案の衆院通過から60日以内に参院で採決されない場合、否決されたとみなすことができる」という憲法の規定に目をつけ、会期を60日間延長する案を官邸が検討しているという報道まで出はじめた。

しかし、維新が乗り気な一方、自民は慎重といわれる。第一、国会への出席を嫌う首相自身が避けたいことだろう。

とにもかくにも、すみやかに高市首相が集中審議と党首討論、木下秘書の参考人招致に応じ、強引な国会運営をやめさせさえすれば、一気に“正常化”に向かうはずだ。難しいことではない。すべては、高市首相の一存にかかっている。いま問われているのは、首相の政治力ではなく、民主主義のリーダーとしての「誠実さ」なのである。

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image by: 首相官邸

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