トランプや高市早苗など論外。民主主義再興のカギを握る「最良の学校」とは?

 

下品で稚拙なトランプとは「真逆」のマムダニNY市長

岸本聡子は、20代で日本のNGOで働き始め、そこでオランダ人のパートナーと出会ってヨーロッパに移住。そこでも国際NGOの調査・研究スタッフとして仕事を続け、当時すでに欧州各地で起こっていたミュニシパリズムの運動を直接に体験した。

当時は市長を握って先進的なミュニシパリズムの行政を進めていたスペインの「バルセロナ・コモンズ」をはじめとするその具体的な話は、上述の彼女の著書に詳しく述べられているが、それからすでに3~4年が過ぎてすでに首長が交代していたりするので、その一々を紹介することはしない。欧州のミュニシパリズムがどんな風に湧き起こってきたのかを知りたい方は、直に同書を繙いて頂きたい。

今まさに世界中から注目されているミュニシパリズムの急先鋒は、米国ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長とワシントン州シアトル市のケイティ・ウィルソン市長で、共に今年1月に就任して半年が過ぎたところである。

マムダニはウガンダのインド系家庭に生まれて7歳の時に米国に移住した、1991年生まれ34歳のムスリム。2020年からNY州議会で民主党議員を務め、同時に「米民主的社会主義者(DSA=Democratic Socialists of America)」の会員として活動してきた。

他方、ウィルソンは1982年生まれ44歳で、公共交通機関の労働組合の共同創立者として運動を率いてきた。「民主的社会主義者」と自称しているがDSAのメンバーではないらしい。

保育の拡充と無償化、中低所得者向けの住宅確保、市内バスの遅延解消のための道路整備や料金無料化など、2人の政策には共通点が多い。が、踏み込みが鋭いのはやはりマムダニで、富裕層への課税強化の具体策の1つとして、市外・国外に居住しながらNY市内に高級セカンドハウスを保有する超富裕層に課税する新しい州の制度を、NY州のホークル知事に働きかけて早くも一部実現させている。

富裕層への課税強化には、その権限を持つ州との連携が欠かせず、同知事も民主党であることがプラスに作用しているのは事実だが、その条件を巧みに活かしてわずか半年で公約を確実に実現させている手腕がすごい。

彼はまた雄弁家でもある。彼が7月4日の独立記念日に当たって行った演説は、この250年の間にどれほどたくさんの人々が海を渡って「アメリカ」に辿り着きその偉大さ作り上げるために参加してきたかを淡々と振り返ったもので、そのマムダニを「共産主義者は最大の敵だ」と罵ったトランプ大統領の下品で稚拙な同じ日の演説と好対照をなしていた。

★ マムダニ演説の動画&テキスト:「Remarks as Prepared: Mayor Mamdani Delivers Address Marking America’s 250th Birthday

イギリスでも、グレーター・マンチェスター市長だったアンディ・バーナムが、労働党の党首になりイギリス首相となることが確実になった。

バーナムは、1970年生まれの56歳ながら、過去に労働党内閣で大臣を務め、党首選に2回出馬したこともあるベテラン政治家で、地方の首長からのし上がって来たというのとはちょっと違うが、しかしこれも、一旦地域政治に身を移して実績を作り一気に中央に返り咲いたという意味では、地方から中央を攻める1つの例である。

日本では、俄かづくりの「中道」が野党第一党として機能せず、そこをいくらいじってもまともなリベラル政党が出来る訳がないことがますます明らかになる中、「地域主権という希望」の広がりを気長に待つしかないのかもしれない。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年7月13日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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