「やるなら今しかない」高市政権の“突然死”を予防する円安止めにトランプ政権が乗ってきたウラ事情

 

トランプ政権が協調介入に乗ってきた相当に複雑な事情

更に、これは政権が強く意識しているとは思えないのですが、国の運営の本質的な部分として、円安が加速することは次の2つの悪影響を伴います。

(3)日本経済の中で、グローバル経済にリンクしている部分(多国籍企業、商社、金融、オルカン投資家など)と、純粋に日本経済だけに依存している部分(国内市場向けの産業、年金生活者、公務員、国債や預金への投資)との格差が拡大。その結果として、不公平感や更には治安の悪化の可能性がある。

(4)インバウンド観光客の購買力と、国内の購買力の格差が更に拡大して、二重価格の横行や、インバウンド嫌悪など社会が不安定化する。

こうした問題に加えて、時季的な問題もあります。

(5)円安を是正するために、円高に振ると、今度は日本の多国籍企業が海外で稼いだ収益が縮んでしまうし、海外で形成された株価も円建てになると下がってしまう。けれども、今は8月で3月決算企業の決算期までは半年以上ある。また次の賃上げまでの時間もある。だから一時的であれば円高に振っても問題がない。

ということで、やるなら「今」という判断に至った理由としては色々と合理的な点はあるわけです。そして、何よりも一番の理由は、

(6)「消費減税と給付」を実行する判断のプロセスで、ドンドン円が下がってしまうと、減税+給付ができなくなる。それどころか、政権の失速あるいは突然死につながりかねない。今、この数週間で良いので円安を止めておきたい。

ということなのでしょう。さて、ここまでお話した日本側の事情については、比較的理解ができるわけですが、では、どうしてアメリカ側がこの流れに乗ってきたのか、こちらは相当に複雑な事情があるように思われます。以降は、ここまで日本側の事情について、使ってきた連番に続けてアメリカ側の事情を列挙していきたいと思います。

(7)何よりも、トランプ政権としては、11月に迫った中間選挙に勝ちたい。とにかく、下院の過半数が民主党に行って、上院で多くの造反が出ると弾劾されてしまうので、一人でも自派の勢力を拡大しておきたい。したがって、10月までの期間に顕著な景気の後退が発生しては困る。株価を維持し、雇用を崩さずに行きたい。

この問題が最大のテーマです。この7番目のテーマには派生的に次のような問題がぶら下がっています。

(8)株価を崩壊させ、景気を壊す要因としては、AIバブルの崩壊がある。これを防止するため、まずはSpaceXを強引に上場させたものの、上場後高値の半額まで売られてしまったが、これを何とか戻したい。そしてOpenAi、Anthoropicの上場も成功させたい。そうでないと、彼らに貸し込んでいるノンバンク融資が怪しくなって危機が露見する。

(9)米国債の金利が上昇しては困る。国債金利の上昇は市中金利を引き上げ、不動産ローン、クレカローンの金利が上がれば消費者はインフレに加えて金利高に苦しむ。また、債券安と株安の二重苦が発生してしまう。

(10)米国では不動産バブルが発生している。コロナ禍以降の郊外住宅需要の拡大に加えて、中国の不動産バブル崩壊の影響で不動産投資マネーが流入して、NYなどのタワマン+オフィスは高値圏となっている。このバブルが崩壊すると、金融危機に発展しかねない。

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