「やるなら今しかない」高市政権の“突然死”を予防する円安止めにトランプ政権が乗ってきたウラ事情

 

純粋に市場原理の延長で動いているベッセント財務長官

にもかかわらず、アメリカが協調介入に乗ってきた、その説明のカギを握るのはやはりスコット・ベッセント財務長官の存在です。トランプ政権の閣僚というと、特にこの第二期の政権に参画したということになると、かなり変わった経歴の人物という印象があるかもしれません。ですが、ベッセント氏というのは、ウォール街においては、本流中の本流を歩いてきた人物です。

具体的には、まずジム・ロジャースの弟子であり、後にはジョージ・ソロスの弟子でもあります。いわゆる現代におけるアメリカの「3大投資家」のうちの2人に薫陶を受けていることになります。特にソロスとの関係で言えば、ソロスのオペレーションの責任者として勤務した時期が長く、非常に深い関係と言えます。後に、自立してヘッジファンドを設立し、成功したのですから、ベッセント自身がメジャーな投資家と言えます。

つまり、ウォール街の、そして金融市場の申し子のような存在だと言えます。FRB議長になったウォーシュは、リーマン危機に際して金融システムを守るために戦ったわけで、どちらかと言えば監督者の立場です。また商務長官のラトニックは、ウォール街のメジャーなプレーヤーということでは共通していますが、ラトニックは投資銀行カンター・フィッツジェラルドの責任者を長く努めたことから見ても、株ではなくコモデティの分野の人物です。

ちなみに、ラトニックが責任者をしていた、投資銀行カンター・フィッツジェラルドというのは、その本社がWBC(世界貿易センタービル)にあって、911テロで被災。主要なメンバーの多くを亡くすという悲劇に見舞われています。ラトニックは兄弟を含む多くの同僚を失った際の責任者であったので、アメリカに対して、そして世界に対して特別な感慨を持っていると思います。ですが、それと現在商務長官としてやっている「アメリカ・ファースト関税」政策との関係は不明です。

そんなウォーシュやラトニックとは異なって、ベッセントという人は常にウォール街のメジャーな投資家であったし、そして様々な局面で勝ち抜いてきている人物でもあります。とにかく徹頭徹尾「株」とともに生きてきた人物であり、だからこそ、今回も「純粋に市場原理の延長で動いている」と見ることができます。

ちなみに、ベッセントは、2013年という「アベノミクス初期」に、円の下落に投資して、見事に的中させています。報道によれば、3ヶ月間で1.2ビリオン(1,800億円)の利益を上げたというのですから、これはなかなかです。例えばですが、98年のアジア通貨危機においてはソロスと行動していたわけですし、アジアの変動を読んで巨額のマネーを動かすということでは、過去30年間第一線にいた人物だとも言えます。

ベッセントが「株の申し子」であり、そして「アジアの激動に常に投資をしてきた」人物だということから、今回の協調介入に関しては次のようなことが言えると思います。

1つは「アメリカの株と景気と雇用を守る」という意味で、今回の協調介入は「必要な手」だと思っているであろうということです。そして2つ目は、「日本の立ち位置を正確に理解して」の上の行動だと思われます。そして3つ目としては「米国としては絶対に損はしない」計算がありそうです。

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