消費税の「逆進性」はむしろ現在よりも大きくなる参政党案
参政党や国民民主党は、「食料品減税」に関して、小さな穴を必死に見つけては、仰々しく批判してきたが、彼らの案の方の方がよほど大きな穴が開いているのです。
参政党の主張する一律5%減税案というのは、実は欠陥だらけです。というのも、まず消費税を一律5%にすれば、10兆円以上の減収となります。減収が5兆円で済む食料品減税と比べて倍のコストがかかるのです。そこでまず大きなハードルがあります。
そして消費税を一律5%にするということは、贅沢品を含む食料品以外の消費は5%の減税になりますが、食料品の減税は3%しかされないということになります。
何度も触れましたが、低所得者にとって一番大きい支出は食費であり、支出の5割近くを占める人も多いのです。
5%減税案であれば、食料品の減税率は8%から5%になるわけなので、わずか3%の減税に過ぎません。食料品が今より3%安くなったとして、生活において「減税」を感じることができるでしょうか?
そして贅沢品を含む食料品以外の商品は5%の減税になります。食料品以外の商品の消費割合は、所得が高くなるほど高くなるので、高額所得者ほどその恩恵が大きくなるのです。ダイヤモンドにも生鮮食料品にも同じ税率5%ということなり、消費税の「逆進性」はむしろ現在よりも大きくなります。
消費税の最大の欠点というのは、「収入における消費割合が高い」低所得者ほど負担が大きくなる「逆進税」ということです。
何度も繰り返しますが、日本の生活必需品にも、贅沢品にも同じ税率を課されており、低所得者に対する配慮がまったくないのです。
食料品とほかの消費の税率に格差を設ければ、この逆進性は緩和されることになります。が、一律5%の減税では逆進性の緩和にはまったくつながらないのです。一律5%減税案は、消費税の最大の欠陥「逆進性」を是正する効果はまったくないのです。
食料品減税案では、高額所得者の方が減税額自体は大きいけれど、負担割合の軽減は低所得者の方が大きくなるということを前述しました。が、一律5%案では高額所得者の方が減税額も大きく負担割合の軽減も大きくなるのです。
食料品減税案と一律5%減税案の比較
●税収コスト
- 食料品減税案 約5兆円
- 一律5%減税案 約10兆円
●低所得者にとっての割安感
- 食料品減税案 生活に直結する食料品の消費税が8%も安くなるので感じやすい
- 一律5%減税案 生活に直結する食料品の消費税は3%しか安くならないので感じにくい
●格差の解消
- 食料品減税案 逆進性が緩和されるので格差解消につながる
- 一律5%減税案 ダイヤモンドも食料品も同じ税率になり逆進性が上がるので格差はむしろ開く
●事業者の手間
- 食料品減税案 確かに手間は増えるが物品税は問題なく施行されていたので大きな問題はない。消費税徴収の手間の方が大きい
- 一律5%減税案 消費税の徴収という手間は普通にかかる
国民民主党の減税案はお話にならない
また国民民主党は「税収が10兆円も減るので、実現性が低い」という批判にこたえたつもりなのか、「一律8%減税案」というものを持ち出してきました。この一律8%減税案というのは、参政党の案よりもさらに矛盾だらけで、お話にならないというレベルなのです。
一律8%であれば、税収のコスト自体は6兆円で済みます。しかし、この案では食料品の税率はまったく下がらない上に、他の商品の税率もわずか2%しか下がりません。
「減税感」「お得感」を感じることはほとんどないだろうし、格差解消にもまったくつながらないし、むしろ逆進性は強くなります。国民民主党は、自分たちでも一律8%案の稚拙さに気づいたらしく、現在はこの案は引っ込めているようです。
このように、参政党や国民民主党は、自らの減税案が欠陥だらけであることはまったく顧みることなく、それよりも全然マシな食料品減税案を激しく叩き続けているのです。
この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう









