こども家庭庁の調査は何を示したというのか?「少子化対策」と「結婚観」に大きなズレが生じたワケ

 

そんな中、今回のラジオニュースと実際の調査結果の違いにあたしが驚いたのが、ラジオで「一方『いずれは結婚したい』と答えた人は37.5%でした」と伝えられた部分です。こども家庭庁の発表では、次のようになっていたからです。

「すぐにでも結婚したい」が9.5%

「2~3年以内に結婚したい」が10.3%

「5年以内に結婚したい」が7.7%

「いずれは結婚したい」が37.5%

つまり、未婚の若者のうち「結婚したい」と考えているのは、合計で65%(正確には64.9%)もいたのです。そして、残りの35.1%が「結婚するつもりがない」と回答していたのです。これが事実なのですから、それなら「結婚するつもりがない」の35.1%と並列で報じる場合は、この「結婚したい」の合計の「64.9%」を報じるべきじゃないでしょうか?

それにしても「すぐにでも結婚したい」や「数年以内に結婚したい」という極めて前向きな回答をすべて「なかったこと」にして、最も後ろ向きな「いずれは結婚したい」という項目の数値だけを報じたのには、何らかの意図を感じてしまいます。たとえば「結婚するつもりがない」という若者が増加している、という印象操作をしたかったとか。

また「結婚するつもりがない」と回答した人の理由についても、こども家庭庁の発表を見ると印象が変わります。

「安定した結婚生活を送れる収入への不安」が40.0%

「自由な時間がなくなる・趣味時間の短縮」が34.4%

「結婚したいと思える人がいない」が32.6%

「結婚のための住居や住居資金の不足」が30.3%

「こどもをもつかどうかの価値観の違い」が30.1%

「家事や子育て分担の偏り」が27.0%

この設問は「複数回答」なので、確かに「収入への不安」は40%で最多ですが、それだけが突出しているわけではないことが分かります。そもそも、残りの60%の人は「結婚しても十分にやっていける収入がある」のです。収入への不安はない。でも、結婚したら自分の自由な時間がなくなるから結婚する気がない。結婚したら子どもに関する価値観の違いでぶつかったり、家事や子育ての分担に関する懸念などが生じそうなので結婚する気がない。そういう人のほうが多いのです。

その上、数値からも分かるように、ほとんどの人が2つ以上の項目を選んでいます。つまり「結婚するつもりがない」という同じ回答をした人でも、その理由は十人十色、こんなところにまで多様化の波が押し寄せていたのです。それにしても「結婚したいと思える人がいない」が32.6%って、この人たちは「今後の出会い」をまったく想定していないのでしょうか?つーか、自分が将来的に結婚したいかしたくないかという問いと、今現在、結婚したいと思える相手がいるかどうか、あたしはまったく別の話だと思うのです。

だって、昭和なら「結婚相談所」、ひと昔前なら「婚活パーティー」、今どきなら「マッチングアプリ」と、結婚したいのに相手のいない男性や女性に対して、なるべくその人の希望に沿った相手を紹介するシステムって、いつの時代にもありました。つまり「結婚したいと思える人がいない」というその人の現状は「結婚するつもりがない」という回答の理由にはなりえないのです。

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