「人生100年時代」と言われるようになって久しいですが、長くなった人生を、ただ長く働き続けるだけで終わらせてよいのでしょうか。『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、前回の記事に続き、定年延長や働く期間の長期化を前提に、人生の各段階で「何を学び、何で遊ぶか」を考えながら、これからの生き方をどのように再設計していくべきかを考察します。
何を「学び」、何で「遊ぶ」か?
先週のコラムでは、多くの企業で「定年廃止」や「定年引き上げ」の動きが加速している話題をお届けしました。
これに関連して、先日非常に興味深いデータが発表されました。
この10年間で日本の生産年齢人口(15~64歳)は約391万人減ったものの、働く人の総数は約452万人も増加したのです。
この背景にあるのが「65歳以上のシニア層」と「女性」です。
女性は13.5%増えたのに対し、シニア層は29.2%も増加しました。
といっても、日本の総人口に占める50歳以上の割合は、約50.4%で2人にひとりが50歳以上ですし、大人だけに限って見ると、6割近くが50歳以上ですから、シニア層が爆増するのも自然なこと。
しかも、健康寿命も伸び、厚労省が掲げる「健康寿命延伸プラン」では、2040年までに男女ともに健康寿命を75歳以上にするとしていますから、人生の午後はかなり長くなりそうです。
いったいいつまで働き続ければいいのか? と暗澹たる気分にもなりますが、 今、私たちが生きているのは、人生の可能性が大きく広がる「マルチステージ(多段階)」の時代です。
これまでの「教育 → 仕事 → 引退」というつのステージの間に「再学習」「探求」「休暇(リフレッシュ)」といった多様なステージを何度でも、自由に、好きなだけ挟み込めるだけの時間が存在します。
一度仕事を離れて大学やスクールで学び直したり、新しい分野を探求して副業や起業に挑戦したり。あるいはまとまった休暇をとって人生を見つめ直したり。
仕事と人生を固定化せず、行き来しながら何度でも自分をアップデートできる時代になった・・・。
そんな風にポジティブに捉えたもん勝ち! といえるかもしれません。
海外に目を向けると、例えば欧米では40代や50代で、キャリアを一時休止(サバティカル休暇など)し、大学に戻って学び直したり、全く異なる地域や職種で「探求」の時間を過ごしてから、新たなステージへ踏み出すスタイルが自然に受け入れられています。
年齢を重ねるほどに経験と新たな学びが掛け合わされ、人生がより深く、面白くなっていく環境が整っているのです。
先週お伝えした「定年廃止」という変化も、単に「働く期間が長くなった」ということではなく、「一律の人生設計から解放され、自分らしい選択肢が増えた」という素晴らしいチャンスです。
「次はどんなスキルを学ぼうか」「どんな新しい探求を始めようか」。
そんな風に「再学習」や「探求」のステージを自分の人生にデザインしていけば、私たちの働き方、そして人生は、これまで以上に自由で豊かなものになっていくはずです。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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