【国際情勢】「サウジ王族がアルカイダ支援」で浮かぶ米国の思惑

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いま、アメリカ国内でなにかが起きている

現在の中東の紛争の原因のひとつは、スンニ派(発音から言えばスンナ派)とシーア派の争いのようにも見えますが、実際は、一部の利害関係者の思惑によるところが極めて大きいと思えます。聖地メッカがあるサウジアラビア王室は、敵対するイラク、イラン、シリア弱体化を狙い、米国からの工作計画(主にはCIA)による「偽の民主化」によって王室が粛清されないように(米国の言うことを聞かない日本の政治家が偽の民主化=マスメディアによって粛清されたようなことが起きないように)、また、中東の石油利権を米国とともに維持するために、中東におけるシーア派地域での紛争を陰ながら援助していることは間違いありません。だからこそ、駐シリアのヨルダン大使までもが、「バンダル王子こそがアルカーイダやイスラーム国などの過激派の真の指導者だ」と主張しているのです。事実、ドイツはサウジアラビアに武器の輸出を止めると発表しています。なぜなら、サウジアラビア経由で「テロ」と呼ばれる人たちに、武器が横流しされるからに他なりません。

もはや、911から連なる中東の混乱は、サウジアラビア、米国共和党内のネオコン勢力、そしてイスラエルであることは、世界の暗黙の了解になっています(そこに安倍政権も合流)。ですので、世界平和を願うのであれば、この一連の勢力といかに距離を置くかが重要であり、このままではこの勢力に対抗するために、シーア派の盟主イランが核保有してしまいます(あと1年で完成すると言われています)。これは極めて私見ですが、米国ネオコンの真の思惑は、イランに核保有させることで、その後、中東で核戦争を起こすことなのかもしれません(そして、シーア派地域を地球上から抹消し、イスラエルの実行支配地域とする)。そのためのただの1ステップが、ISISによる活動と見ることもできると思います。

ともあれ、サウジアラビアの王室は、王室を維持することが目的であり、米国ネオコン勢力は、中東の混乱とイスラエルの維持が目的なのは間違いありません。西側諸国の報道にはなかなか出てきませんが、一般的に中東では、このような異教徒(米国)と手を組み、中東を戦場にするサウジ王室に非難の声が多くあります。

米国ネオコンの政府転覆手法は、みっつしかありません。事実とは違うスキャンダルを米国のエージェントであるその国のマスコミを使って大騒ぎさせ、それを、民主化の錦の旗(金権政治払拭等)のもとにインターネットを駆使して人々を先導し、政権の転覆を狙います。それがうまくいかなければ、暗殺、もしくは軍事介入するのです。この手法によって、中南米の国々は次々と転覆し、東欧のカラー革命や中東の春が起きました。2009年8月に起きました戦後最大にして最後の日本の「静かな革命」も、この手法によって覆されることになり、かつてはサウジアラビアで米国と袂を分けようと考えていたファイサル国王も暗殺されることになったほどです。このようなことから、現サウジ王室も日本の政権も、保身のために米国ネオコンおよび周辺ビジネスに協力している構図は、とてもよく理解できます。事実、ブッシュの家業とまで言われている米国ベクテル社は、湾岸戦争後のサウジアラビアで10兆円以上稼いだことがわかっています。

しかし、いったいなぜ、米同時テロ元被告が「サウジ王族がアルカイダ支援」したことがいまになって表面化したのでしょうか?サウイ受刑者の宣誓証言は、昨年10月のものであり、いまになって表面化してきたことに問題の深層があるように感じています。

いま、米国内でなにかが起きています。民主党と共和党だけの争いに限らず、大きな動きが見え隠れします。これはもしかすると、各党大統領候補を決める時期が近づいてきた共和党内の旧勢力と新勢力の争いかもしれません。

どちらにしろ、次の米国大統領選まであと1年9ヶ月です。この間、世界は想像以上に揺れることになるでしょう。

 

『高城未来研究所「Future Report」』第191号より一部抜粋

著者/高城剛
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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