昨今、人気に陰りが見え始めたとも言われるプロ野球ですが、「最下位なのに動員数は上位!DeNAのマーケティングから学ぶこと」でご紹介したDeNAベイスターズのように、ちょっとした発想の転換で人気を取り戻した球団があるのも事実。無料メルマガ『ビジネス真実践』でも、経営陣の「目のつけどころ」で劇的な復活を遂げた千葉ロッテと広島カープの試みが紹介されています。
千葉ロッテのヒント
「この商品、もっと売れないかなぁ~」
「もっとお店にお客さん来てくれないかなぁ~」
「うちのサービス、もっとたくさんの人に知ってもらえたらなぁ~」
などと日々、脳ミソにいっぱい汗をかかせて頑張っていらっしゃる方は多いでしょう。しかし現実は、思い通りに売上も客足も伸びずじまい。「こんなにもがんばってるのに」と嘆き節になる人も多いのではないでしょうか。
いくら、考えて毎日がんばっていても考え方、がんばり方が間違っていれば、空回りするだけです。で、その最たる原因が、「どうすれば売上、客足が伸びるか?」とか、「どうすればもっと商品が売れるか?」ってところばかりに気がいっているからです。もっというとそんなことばかりに気がいっているということにすら気がついていないからです。
自社の商品やサービス、店舗のことを考え、どうすれば売れるか?どうすればお客さんが来てくれるか?って考えることが悪いことではありませんが、そこばかり考えていても事態が善くなるわけではありません。劇的に変化するわけでもありません。
たとえば、千葉ロッテマリーンズ。
かつてまだ、川崎に本拠地があったロッテオリオンズの頃はというと、外野スタンドではカップルがいちゃいちゃしたり、親父がワンカップ片手に横になって肩肘を突き、スルメを噛みながら観戦していても周りのお客さんに迷惑にならないほど閑散としていました。
しかし、本拠地を千葉に移転してから、ロッテ球団は地元に愛され応援される球団に生まれ変わるために抜本的な改革をしました。その1つが、応援方法の指南。
プロ野球の応援といえばトランペットに太鼓にメガホンが常。それをJリーグサポーターに習い、応援の仕方そのものを変えました。このことで、今まで足を運んだことがなかったファンも増え、応援することが楽しい、みんなで盛り上がれるという空気が生まれ浸透していきました。
やがて、熱狂的なファンが増加するようになり、メジャーリーグのボールパークといった様相を呈した球場で、お客さんも以前とは比べ物にならないほど入っています。劇的な変化です。これを球団が、「観客を増やすにはどうすれば?」「チケットを割り引いて…」みたいなことばかりに目を向けていたらどうでしょう? おそらくここまでの変化はなかったでしょう。
こうしたことは、どのような商売、ビジネスでも言えます。売上や増客のことだけ考え、「どうすれば売上が増えるか?」「どうすればお客さんが増えるか?」だけでは結局行き詰って終わり。でも、お客さんが商品を買う理由や目的がこれまでとは違った理由や目的であることを明確にしてあげると変わってきます。または提案してあげると変わってきます。サービスを利用する理由や目的がこれまでとは違ったものを「明確」に「提案」してあげることで変化が生まれます。
千葉ロッテマリーンズは、観客を増やすのではなく、応援の仕方を変え、球場という店舗を「野球観戦するため」だけではなく「楽しめる空間」、ボールパークにしました。これが地域にとって、レジャーの1つになったのです。