仕事を終えて食事を摂って、そろそろ就寝という時にワインでも飲んでちょっとリラックス。そんな感じで、ゆったりとワインを楽しんでいる人は割と多いのではないでしょうか。そんな素敵なひと時に対して「なんかダラダラとムダな時間の使い方してるかも…」と思う方もいるかもしれませんが、そんなリラックスタイムの最中でも、腸内では意外なことにバクテリアが良い働きをしていること、ご存知でしたか?
オランダ人の便検査で微生物に関連する性質を発見
科学ジャーナル『Science』で、「人間の微生物コミュニティの多様性に貢献する性質が検査された」という新たな調査結果が公開されたと、米TIMEが報道しています。
その記事によると、オランダを拠点とする団体「Lifelines-DEEP」に所属する1135人のオランダ人の便サンプルを分析した結果、ワイン、コーヒー、お茶、ヨーグルトが、その他の物質と比較して、腸の微生物の多様性に確実に貢献していることが判明しました。
ワインといえば、ポリフェノールが身体にいいということはすでにご存知の方も多いと思いますが、さらに腸にも良い効果をもたらす成分が含まれていたんですね。
では、具体的にどのような効果があるのかというと、これらの成分は活力のある「善いバクテリア」を維持させることが可能だと、Expressが伝えています。
腸内フローラの菌を増やして免疫力アップ
腸内では何兆もの「善玉菌」と「悪玉菌」が存在しています。
善玉菌は炎症を抑制する働きをもち、一方で悪玉菌は炎症をもたらす働きがあるため、健康でいるためにはこのバランスを取ることがキーとなります。
つまり、こういった様々なタイプの菌は、肥満やその他の病気をもたらす原因にも、回避する効果を与えることにもなり得るということです。
一方で、妊娠中に摂取する炭酸飲料の糖分やタバコは、この成分の多様性を減少させるということもわかりました。
オランダ・フローニンゲン大学の遺伝学者Jingyuan Fu氏は、LA Time紙にこう語りました。
「私たちが認知している限りでは、このように大きなスケールにおいて、腸のマイクロバイオーム(人の腸内に住む微生物群)に関連した環境要因などを、これだけ広い範囲で、しかも体系的に査定した初めての研究になります」
このマイクロバイオームとは、大部分の善玉菌、菌類、ウィルスが住むコミュニティ、つまり微生物群のこと。最近、日本では「腸内フローラ」とも呼ばれています。(腸内フローラについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています)
このマイクロバイオームは食べ物の消化や免疫システム調整などの機能を果たすとも言われています。
さらに、専門家によれば、個々の微生物群の構成が、気分障害、肥満、過敏性腸症候群を含むその他の疾病に関与しているとも言われています。
今までお酒やカフェインの摂りすぎは良くないと思っていましたが、上記の結果を受けて、食生活から完全に除いてしまうことは必ずしも良いことばかりではないのかもしれません。
バランスを取ることが何よりも大事ですが、ワインやコーヒーをのむ度に、バクテリアが良い働きをしているかと思うと、少し今までとは違った角度から食生活を見直すことができそうですね。
この他にも果物、野菜、ヨーグルトなども良い影響を与えるそうです。
様々な効果があるということが分かった今こそ、各自の体質や体調に合った食事を再考してみるのもいいのかもしれません。
image by: Shutterstock
source by: TIME, Science, LA Time, Express
文 / 臼井 史佳