自民党竹下派の竹下亘会長(74)の発言が波紋を広げている。竹下氏は18日、島根県の丸山達也知事が東京五輪聖火リレーの中止を検討すると表明したことについて、「知事の発言は不用意だ。注意しようと思っている」と語った。この発言に対し世間からは「何でそんな偉そうなの?」「上から目線すぎる」「上司でもないのにその言い方はおかしい」など批判が高まっている。
自民党の重鎮・竹下氏が「注意する」と上から発言
自民党の派閥の領袖とはいえ、なぜ竹下氏が県知事に上からものを言うことができるのか?
竹下氏は島根2区出身。その苗字から、故竹下登元首相の息子と思われがちだが、異母兄弟という関係性。元首相の弟とはいえ、年齢は20歳以上も離れているため、政界では親子のような関係といえる。
慶應義塾大学卒業後はNHKに入局。その後、兄登氏の秘書を務める。
2000年に引退を表明した登氏の後継者として、第42回衆議院議員総選挙に島根2区から自民党公認で出馬して初当選。54歳という遅い政界デビューとなった。
第2次安倍内閣で復興大臣、自民党総務会長、国会対策委員長などを歴任。政界のサラブレッドとして重職に付いてきた。
また、竹下氏は島根県連の会長も長く務めてきた。2020年8月にその職を退いてはいるが、2019年に行われた島根県知事選挙に無所属で出馬し、自民党から推薦を受けて当選したのが丸山達也知事。
それゆえ、「俺が会長の時に当選したくせに、何を偉そうなことを言っているんだ」とばかりに、丸山氏に「注意する」と発言したのだろう。
自分の方が立場は上で、言うことは聞くはずだと思っていることは間違いない。
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そもそも竹下氏は偉ぶれる立場にない
たしかに竹下氏が島根県連会長の時に行われた知事選で、自民党からの推薦を受けで丸山氏は当選したが、実は竹下氏は丸山氏を推していない。
自民党本部と県連は別の候補を推薦し、自民党所属の県議らが推した丸山氏と対立。44年ぶりに保守分裂選挙となっていたのだ。
熾烈な争いとなった選挙を制した丸山氏は、きっと竹下氏のことを快く思っているはずはなく、たとえ今回竹下氏から注意されたとしても気にしないだろう。
そもそも、竹下氏は保守分裂となった選挙で敗北した責任を取る形で県連会長を退いており、丸山氏に偉そうに注意できる立場でもない。
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橋本聖子氏は「男みたいでハグなんて当たり前」
また、竹下氏は18日、党本部での派閥会合後に、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に就任した橋本聖子氏について触れ、「スケート界では男みたいな性格でハグなんて当たり前の世界だ」と発言した。朝日新聞などが報じた。
フィギュアスケート男子の高橋大輔選手にキスを強要したと過去に報道された橋本新会長を擁護したかったようだが、男女平等などが叫ばれている中での発言とあって、こちらも批判が殺到。橋本新会長の足を引っ張る、余計な援護射撃となってしまったようだ。
立憲民主党の蓮舫参院議員は自身のツイッターで「この局面でこの発言。昭和から令和に時代は移っています」と怒りの投稿をした。
この局面でこの発言。
昭和から令和に時代は移っています。
べき論や決めつけでもない、年齢や性別ではなく個々の能力を伸ばし、評価。多様性溢れ認め合う社会を。
それが新しい創造社会をもたらすと思うのです。橋本氏は「男みたいな性格、ハグ当たり前」自民・竹下氏 https://t.co/Trl9HvlfjE
— 蓮舫🙋♀️@RENHO・立憲民主党 (@renho_sha) February 18, 2021
その後、竹下氏の事務所は報道各社に対し「男みたいな」とした発言に関し「正確には『男勝り』と言いたかった」と訂正。騒動となったことで苦しい言い訳をしたが、竹下氏の本音が思わず出てしまったと言わざるをえない。
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image by : 竹下亘 公式サイト