実業家のイーロン・マスク氏が「いずれ日本は消滅するだろう」とツイッターに投稿し話題となりましたが、なぜわざわざマスク氏が加速する日本の人口減に警告を鳴らしたのでしょうか。そこで今回は、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんがマスク氏のツイートを紹介しながら、宙ぶらりんのままになっている「出生率」の問題について迫ります。
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イーロン・マスク「日本はいずれ存在しなくなるだろう」の衝撃
日本人が決して言えなかったことを、“あの人”が言ってくれました。
「当たり前のことをいうようかもしれないけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」ーー。
そうです。この“当たり前”を、米テスラCEOのイーロン・マスク氏がTwitterに投稿したのです。
この発信は、「2021年10月1日時点の日本の総人口が、前年から64万4000人減の1億2500万2000人で、過去最大の落ち込みになったことを伝えるニュースに反応したもので、瞬く間に拡散。
「産みたくない社会を変えろ!」
「専業主婦増やせばいいだけ」
「女は働くなと教育しろ」
「子供産むのにカネかかりすぎ」
「移民を受け入れればいい」
「男の賃金上げろ!」
「老人対策にばっかカネ使ってるからだよ!」
「カネがないので結婚できません」
「もう限界。無理」
などなど、SNS上にはここに書ききれないほどの多種多様な意見が飛び交いました。
日本の少子化問題、出生率の低さは、ずーっとずーっと社会問題でありながら、本メルマガのVol.269「“閉じゆく国”の未来」で書いたように、夢物語を追い続けている。マスク氏が指摘した、当たり前に向き合ってこなかった末路が「今」です。
2021年の出生数は84万2897人で、1899年の統計開始以降最少です。
また、4月1日現在、15歳未満の子供は1465万人で前年より25万人も減り、全人口に占める子供の割合はたったの11.7%。年齢階層別では12~14歳が323万人、0~2歳は251万人と、若くなるほど少ないのです。
一方、2021年の死者数は145万2289人で、前年比で6万7745人増加。戦後最多です。日本の65歳以上人口は、2042年にピークを迎えるとされていますので、出生率が死亡率を超える日は・・・来ない、と思います。
マスク氏のTweetは「This would be a great loss for the world」とありましたので、「世界にとって大きな損失だ!」と惜しまれる中で、いつの日か日本は閉じていくのです。「私」たちが考える以上の確率で。
いずれにせよ、日本の少子化対策の夢物語ぶりは、Vol.269でお読みいただくとして「出生率を決めるのは、何か?」について、信頼性の高い論文をもとに今回は紹介します。
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