日本時間の16日早朝、米アラスカ州アンカレッジで行われる米ロ首脳会談。ウクライナ戦争開戦後初となるトランプ、プーチン両氏による直接対面に全世界の注目が集まっていますが、識者はどのように見ているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、考えうる2つのシナリオを紹介し、その各々が今後の国際社会に与える影響を考察。その上で、いかなる結果が出ようともこの会談が「国際情勢のターニングポイント」となることに間違いはないと記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:運命の8月15日-迎えるは世界の破綻の始まりか?それとも紛争解決のきっかけか?
8月15日、運命の「米ロ首脳会談」。迎えるは世界の破綻の始まりか?それとも紛争解決のきっかけか?
2025年8月15日。
ちょうど80年前に日本が連合軍に降伏して、第2次世界大戦と呼ばれた一連の戦争(同時多発的に戦われた地域戦争の束)が終結しました。
東京も大阪も度重なる焼夷弾での絨毯爆撃で破壊され、沖縄では多くの一般市民の無辜の命が失われ、そして8月6日には広島、9日には長崎への原爆投下によって十万人を超える命が一瞬にして奪われるという惨憺たる結果に終わりました。
その後、世界では世界大戦と呼ばれる大戦争は起きていませんが、朝鮮半島が2分され、ベトナム戦争でも多くの生命が奪われ、その後、カンボジアでのポルポトによる虐殺、スリランカでのタミールタイガーによる虐殺などの紛争において多くの一般市民の命が奪われることとなりました。
その間、国際社会は自由主義陣営と社会・共産主義陣営との間の緊張が皮肉にも世界戦争を抑止してきましたが、ソビエト連邦の崩壊を機に、世界は流動化し、まずは旧ユーゴスラビアが分裂し、民族浄化と言われるほどの激しく残忍な戦争が引き起こされ、その傷跡は今でも完全に癒えてはいません。また1991年には湾岸戦争、90年代半にはコソボ紛争など、世界を巻き込む地域紛争が多発しました。
その後、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ、アフガニスタンの内戦(タリバン掃討作戦)、イラクの崩壊など、国際秩序を根幹から揺るがす事態が連発しましたが、国際社会は何とか協調の下、この非常にfragileな世界をデリケートなバランスを保つことで、一つの偶発的な衝突が世界戦争に発展することを止めてきました。
しかし今、そのデリケートなバランスは崩され、世界は再び混乱と分断の時代に突入しています。
コロナのパンデミック時に露わになった国際的な格差、ロシアによるウクライナ侵攻(2014年のクリミア半島への侵攻と2022年以降のロシア・ウクライナ戦争)によって世界は分断化され、その後、2023年10月7日に起きたハマスによるイスラエルへの同時多発テロ攻撃と人質事件とイスラエルによる苛烈な報復攻撃と人道危機の深刻化により、世界の分断は回復不可能なほど鮮明に深まっています。
~中略~
そして8月15日にはアラスカ州アンカレッジで米ロ首脳会談が開催され、ロシア・ウクライナ戦争の停戦の可能性についての話し合いが行われることになりましたが、この協議が本当に成果を見いだせるかどうかは限りなく不明です。
その最大の要因は、ロシアが現時点で停戦を切望していないことです。
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