SNS上に飛び交う、海外にルーツを持つ人々への誹謗中傷。その発信者は「純日本人」という概念に異常な執着を見せますが、はたしてその「純日本人」とは何をもって定義されるものなのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』ではジャーナリストの上杉隆さんが、上皇様が天皇陛下として平成13年に述べられたおことばを引きながら、「日本人論」を展開。その上で、排除ではなく多様性を力に変える社会の在り方を提起しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【日本人再論】「純日本人」という幻想を超えて~天皇陛下のお言葉の意味
日本人のほとんどが混血の末裔。それでも消えない「純日本人」という幻想
今週の『NoBorder NEWS』の生放送、ある弁護士の言葉が心に刺さった。
● あすに迫った日米首脳会談!6年ぶり来日の目的そして?トランプ大統領の思惑は? 徹底議論!!【NoBorder NEWS #008】
「日本で生まれ、日本で育ち、日本語しか話せない。親も祖父母も日本で生まれた。それなのに『国に帰れ』と言われる。どこに帰れというのか」
桜井ヤスノリ弁護士――彼の言葉には、言いようのない重さがあった。土曜日の放映の『NoBorder』本編では不法移民問題を議論していたが、彼が外国人の子どもたちを守ろうと主張したとき、SNSには誹謗中傷の嵐が吹き荒れた。「お前は純日本人ではない」「反日だ」「国へ帰れ」――数千を超えるコメントが彼とその家族を襲った。
だが、ちょっと待ってほしい。そもそも「純日本人」とは何なのか。
日本人のルーツを辿れば
歴史を紐解けば、日本列島に住む人々は決して単一民族ではない。約1万6,000年前から続いた縄文時代、この列島には世界的にも異例の平和な時代を築いた縄文人が暮らしてきた。そこへ約3,000年前、朝鮮半島から稲作文化とともに渡来人がやってきた。彼らが縄文人と混血して生まれたのが弥生人と弥生文化である。
最新のゲノム解析によれば、現代日本人のDNAには縄文人由来が10~20%、渡来系弥生人由来が80~90%含まれているという。つまり、私たち日本人の大半は「渡来人の子孫」なのである。
古墳時代以降も、朝鮮半島から多くの技術者集団が渡来し、日本の文化と技術の基盤を築いた。漢字も、仏教も、様々な工芸技術も、彼ら渡来人がもたらしたものだ。さらに遡れば、縄文人自体が東南アジアやシベリアから来た人々の末裔である。
にもかかわらず、なぜ多くの者は「純日本人」などという幻想にしがみつくのか。
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