イランが“米軍の墓場”となるか?停戦協議の不発が招く“最悪の事態”を理解できぬトランプとネタニヤフの愚

Delaware,,Dover,Airforce,Base.,2026,March,7.,President,Donald,Trump
 

ウクライナ、ガザ、そしてイランの地でと、複数の戦争が同時に進行する国際社会。ことイラン戦争においては一度は合意されたかに見えた停戦も崩れつつあり、事態はむしろ不透明さを増しています。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の「無敵の交渉・コミュニケーション術」』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、これらの戦争の長期化と停戦交渉の脆弱性を鑑みつつ、その背後にある大国の誤算と戦略的思惑を分析。さらに現在進行系の戦争が新たな戦争を呼び込むという「世界大戦ドミノ」の危険性を指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:戦争は終わるのか?それとも戦争の連鎖が世界大戦を生むのか?

いくつもの戦争が同時進行する異常事態。“3大国の2つ”が戦時体制に置かれる国際社会の危機

複数の戦争が起きている毎日が日常化し、トランプ大統領の一言で株価が乱高下する日常にすっかり慣れてしまった私たち。

戦争当事国の国民を除けば、恐らくその他の大多数の私たちは、戦争がどこかで起きている日常を過ごしつつも、戦争の勃発当時よりは深刻に感じなくなってきているのではないでしょうか。

2022年2月24日に、ロシアによるウクライナ侵攻から始まったウクライナ戦争。

2023年10月7日から続くガザ地区における悲劇。

2026年2月28日にスタートした米とイスラエル、そしてイランの間での攻撃の応酬。

ガザにおける悲劇の連続はともかく、ウクライナ戦争とイラン情勢を受けて、私たちの日常生活の“当たり前”が脅かされると、「大変だ!」と騒ぎ立て、多くの傍論が飛び交うのですが、「世界が滅亡するのではないか?」とか「第3次世界大戦勃発前夜」といったように恐怖を掻き立てる声が聞かれるほどには、まだ世界は荒れていないと思われます(私が煽っている方であれば、申し訳ございません)。

どちらかというと、非常に皮肉な言い方になってしまいますが、トランプ大統領のシンプルかつ極端な、そして思い付きとも思われる発言や発信が作り出す混乱を、まるで私たちはショーを見るかのように楽しんでいるようにさえ、見えてしまいます。

ただ、私たちが見聞きしている“現実”は、実際にはどの程度“本当に起きていること”を伝えているでしょうか?(ゆえに、私のメルマガの内容も「ほんまかいな」と突っ込みながら読んでくださいね)

まず、最初に現状確認をしてみたいと思います。

一言で言うと、世界の三大国(米国、ロシア、中国)のうち、2つ(米国とロシア)が戦時体制に置かれている異常な事態です。もし、中国が台湾侵攻に踏み切ったり、他の場所で戦争に臨んだりするようなことになれば、3つの大国が同時に戦時体制に置かれるという状況になり得る危機的な状況です。

この3か国は軍事力を見れば圧倒的な力を誇りますが、軍事力が思うような結果をもたらしていないというジレンマに直面していることも事実です。

ロシアはウクライナ侵攻において、当初、数日あればキエフを陥落することができ、ウクライナ全土をロシアが支配するか、またはゼレンスキー大統領を失脚させて親ロ政権のウクライナを“ロシアの傀儡”としておくことができるという見立てをしていたようですが、結果は4年以上にわたる血生臭い膠着状態に陥っています。

軍事力ではウクライナに比べて優位に立っているとされ、かつ虎の子の核戦力もまだ温存していますが、戦争を遂行するにあたり、膨大な人的損失や経済的な犠牲を払っているにもかかわらず、領土獲得のペースは極めて遅く、当初立てた目的を何ら達成できていません。

アメリカでトランプ大統領が政権の座に就くと、彼の成果作りの材料として停戦協議の舞台が設定されましたが、大きな犠牲を払っているにもかかわらず、ロシア側には戦争を止めるモチベーションがなく、のらりくらりとトランプ大統領の要請をかわしつつ、ウクライナに対する攻撃の手を弱めることは無く、“いつかアメリカがウクライナを諦める”タイミングを待ち、ウクライナが孤立無援になって自ら(内的な要因で)崩壊することを待っているように見えます。

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