イランが“米軍の墓場”となるか?停戦協議の不発が招く“最悪の事態”を理解できぬトランプとネタニヤフの愚

 

米国内でも激しさを増すトランプの前時代的な発言への非難

イスラエルについては、合意不発の暁には、それを口実にイランへの攻撃を正当化し、まさに待っていましたとばかりに、イラン攻撃を本格化し、イランによるテルアビブなどへの苛烈な攻撃の仕返しをすることになるでしょう。そしてそのような場合には、イランによる対イスラエル攻撃がレベルアップし、かつアラブの周辺諸国への攻撃(特に米軍基地周辺)が激化することが予想されますので、中東全体を巻き込んだ終わりのない戦争が繰り広げられることが懸念されます。

そのような最悪の事態を予想しているのでしょうか。イランのペゼシュキアン大統領は、アメリカからのさらなる攻撃を見据えて以下のように述べています。

「イラン国民がアメリカの不法な侵略に屈服することは絶対にない。国土がどんなに破壊されようとも、わが国民はより立派に祖国を再建してみせる。イランは数千年の歴史と豊かなペルシャ文化をもつ誇りある国。わが祖国は必ず見事に再建されるが、国際法を蹂躙して侵略を行った戦争国家のアメリカが失った信用は決して未来にわたり回復することは無いだろう」

この発言、宣言は、合意締結前にトランプ大統領が「イランを石器時代に戻してやる」と言い放ったことを受けてのものですが(ちなみにこの最悪な表現は、第2次世界大戦時に東京大空襲の実施や広島と長崎への原爆投下という非戦闘員の大量殺戮、つまりジェノサイドを強硬に主張し、その後、朝鮮戦争やキューバミサイル危機時に核兵器の使用を主張したカーティス・メイ氏の発言をパクったもの)、イランは今回の合意が、イスラエルの邪魔によってダメになりそうなことを受け、再度、トランプ発言を非難し、ペゼシュキアン大統領の声明を世界に向けて発信しています。

トランプ大統領の前時代的な発言に対し、アメリカ国内でも非難が激しさを増しており、ワシントンポストやニューヨークタイムズなどは「トランプはアメリカ史上、最悪の大統領として記憶されることになるだろう」とこき下ろし、さらには「彼はもはや自分が何をやってしまったかさえ、分からなくなっている」と非難していますが、アメリカの連邦議会でも憲法修正25条を適用してトランプ氏を罷免しなくてはならないという声が増えてきているようです(ちなみに、実際の発動には現政権内の閣僚からの要請が必要になりますが、罷免ラッシュが起きている今、関係悪化が囁かれる閣僚から声が上がる可能性が否定できない状況になってきました)。

余談ですが、これに対して欧州各国は、NATO脱退を仄めかし、あからさまに法の支配を否定するトランプ大統領に愛想を尽かせ、NATO終焉の場合に備えたシナリオを考えつつあるようですが、ロシアの脅威に晒される立場としてNATOの対ロ抑止力に勝る防衛体制を構築できるかは懐疑的と言わざるを得ません。

環大西洋の軍事同盟の消滅は、即座に欧州地域の安全保障の衰退を意味し、再び世界大戦が欧州発で勃発する危険性が高まることを意味しかねない状況ですが、そのことにアメリカは気づかず、恐らく欧州もまだそこまで深刻に捉えていない感じがしています。

正直なところ、現在の混沌とし、危機に溢れた国際情勢は【アメリカの外交・安全保障政策の大きな誤り】に起因すると考えますが、その元凶は何でしょうか?

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