近年、ドナルド・トランプ氏の発信や政治活動をめぐり、宗教との関係性に注目が集まっています。特に、いわゆる「トランプ版聖書」と呼ばれる出版物の販売や、それに関連する支持者の動きは、政治・宗教・ビジネスが交錯する現象として議論を呼んでいるところです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、これらの動きをまとめ、本質を探っています。
“トランプ・バイブル”の販売で支持拡大と大儲けを目論むトランプ大統領
ぶっちゃけ、常軌を逸した言動で世界を騒がせているのがトランプ大統領です。
自らをイエス・キリストになぞらえたAI生成画像を投稿したかと思いきや、数日後にはキリストが自身の肩を抱き寄せている新たな画像を投稿しました。
最初の画像が「神への冒涜だ」と保守系のキリスト教徒から総スカンを食らったため、新たな画像では「神のご加護を受ける指導者」へと表現を変えることで、宗教的なアピールを維持しようとしているようです。
とはいえ、福音派やカトリック教徒の間でも評判は今ひとつで、トランプ大統領への支持率は減少を続けています。
そこで、逆転を狙ったのが『トランプ・バイブル』の製造販売です。
この「トランプ版聖書」は人気回復を狙い、次男のエリック氏とその妻ララさんが企画したとのこと。
聖書にはほぼ無関心で、教会の日曜礼拝にも参加しないトランプ大統領ですが、愛国者として神のご加護の下、アメリカを再び偉大にするというメッセージを織り込んでいます。
書名は『God Bless the USA Bible: Trump Edition』です。
伝統的な福音書に加えて、合衆国憲法、独立宣言、そしてトランプ氏の「アメリカへの誓い」を合体させたもの。
何と、1冊59.99ドル(約9000円)で販売中です。
ララ・トランプさんが仕切っている共和党全国委員会の集会では、このトランプ聖書を掲げることが参加者の儀式になっています。
実は、このトランプ版聖書の販売は選挙資金規正法を回避し、支持者から直接「寄付」を募るための巧妙な手段でもあるわけです。
こうした動きにはローマ教皇レオ14世も批判をしています。
そのため、アメリカのバーンズ&ノーブルなど大手の書店では「特定の政治的意図に基づき改変された宗教書の販売は倫理的ガイドラインに抵触する」として、予約注文のキャンセルと販売停止を決定しました。
ところが、それに対して、トランプ支持者からは「これはバチカンによるキリスト教への検閲だ」といった反発が起き、各地の書店の前で抗議活動が行われる有様です。
しかも、トランプ氏が読もうとしない伝統的な聖書を焼き払う「逆・焚書」のような騒動まで報告されているではありませんか。
というのも、イラン戦争の平和的解決を主張する教皇に対して、トランプ氏は「イタリアに住む外国のリーダーが、アメリカ人に対してどの聖書を読むべきか指図するのは主権の侵害だ。バチカンによる内政干渉だ」と猛反発しているからでしょう。
ぶっちゃけ、アメリカでは建国以来最大かつ最悪の宗教的断絶に直面していると言っても過言ではありません。
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