「道徳」の時間を嫌う子どもたち。最近の教育は何を教えているのか?

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透明人間になれたら「人を殺したい」「強盗をしたい」と平然と答える子どもたち…。この事実を「戦後教育の被害者」という言葉で片付けてしまって果たして良いのでしょうか? 無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、2018年以降に実現化される「道徳の教科化」に触れながら、子どもたちの人格形成について教育現場ができることを考えていると書いています。

道徳の教科化とこれからの課題

2014年10月23日の産経新聞の「産経抄」に驚くべきことが書かれていました。

このコラムに書かれていたのは、

「透明人間になったら何をしたいか」。小学校6年生にこんな質問をすると、7人の児童から驚くべき答えが返ってきた。「人を殺す」「強盗する」。2年前、岐阜県の公立小学校の卒業文集にそのまま掲載され、保護者に配布されて大騒ぎになったことがある。

というものです。コラムでは、このような児童たちは「人を殺してはいけない」ことを教えられてこなかったに違いないと述べ、「徳育の欠如した戦後教育の被害者」と指摘していました。

記憶に新しい佐世保市での高校同級生殺害事件でも、加害者の生徒は「体の中が見たかった」と述べております。学校では、毎日のようにいじめが繰り返されています。ここに共通するものは、常に大きな倫理観道徳心の欠如です。

2012年の年末に第2次安倍政権が誕生し早3年が経ちました。学校における教育課題は、いじめ、不登校、学力不足、意欲不足、規範意識の低下、教員の指導力不足など多岐に及んでいますが、中でも現政府はいじめ対策に積極的な姿勢を示し続けてきました。

2013年に「いじめ防止対策推進法」を制定し(同年6月28日公布)、現在は2018年度以降に「道徳の時間」を「特別の教科 道徳(仮称)」にし、教科化する準備を進めています。この道徳教育の改革も「いじめ問題への対応」が最大の動機でした。本当に道徳の教科化は、子供たちの「道徳心」を取り戻し、いじめ問題の解決につながっていくのでしょうか。

公立学校において「道徳の時間」は、教育の目標である「人格の完成」を目指す中核を担っています。しかし、文部科学省が2005年に実施した「義務教育に関する意識調査」によると、道徳の時間に対する子供の受け止めは教科全体の中で下位に位置し、6年生では最も好きになれない学習」になっています。道徳の授業の重要性は誰しもが理解しているものの、実際の授業の内容には問題があるということでしょう。

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