「道徳」の時間を嫌う子どもたち。最近の教育は何を教えているのか?

 

道徳の時間」は、1958年に創設されましたが、それ以降、「道徳の時間」に関してさまざまに議論がなされてきましたし、現在はその形骸化も大きな問題になっています。

2006年、教育基本法が約60年ぶりに改正され、その内容を反映するために2008年に道徳の学習指導要領も改訂されました。この指導要領では、道徳教育の充実を図るため「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」とされ、「」という表現を用いて「道徳の時間」の道徳教育における中核的な役割や性格を一層明確にしました。加えてあらたに「道徳教育推進教師」が置かれました。しかし、それでも効果には地域差があり、現場の教師に理念が浸透せず、結果として他教科に比べ軽んじられる傾向は変わりませんでした。

昨年、道徳の時間は大きな政策転換を迎えました。文部科学省の中央教育審議会の道徳教育専門部会は2014年10回の審議を開き、最終答申案をまとめました。

今回の答申では道徳教育は「道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」という理念の浸透と、具体的な取り組みを推進するために、これまで正式な「教科」ではなかった道徳の時間を「検定教科書」を用いる教科とし、「特別の教科に格上げすることがまとめられたのです。

「道徳教育」は学校教育全体で行う根源的なもので、「特別の教科 道徳」はその道徳教育の要を担う時間であり、各教科や特別活動などにおける道徳的指導の包括的な位置にあることをはっきりと示したことになります。この重要な意識改革を現場の教員はもちろん、国民にも促すことができるかどうかが、今回の教科化にむけても大きなポイントとなります。

道徳の教科化がいじめ問題の解決につながるかどうかは「社会規範」や「価値秩序」を教えることが出来るかどうかにかかっていると思います。そのためには、やはり「いじめは犯罪である」というような「善悪の基準」や「何が正義なのか」を教えることが不可欠です。

さらに、「なぜいけないのかという理由を教えられるかどうかも重要です。そのためには、戦後タブーとされてきた宗教的な価値観を含めた「正しさとは何か」という価値観を学び、考えることが必要です。

今後の、道徳の教科化にむけて、教科書内容や教える教師の育成方法を含めて、子供たちにどのように善悪の価値観を教えていくのかが大きな課題となるでしょう。

和田 みな

image by: Shutterstock

 

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