中国当局に「スパイ容疑」で逮捕されそうになった男の6年越しの告白

shutterstock_146319164
 

中国で日本人がスパイとして拘束されるという事件はたびたび耳にしますが、その難をギリギリのところで回避したというのは『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の著者・加藤健二郎さん。事の経緯と中国当局の意外な対応をメルマガ内で明かしています。

中国スパイ事件リスク

中国で、日本政府(外務省や公安)の依頼を受けて活動していた日本人がスパイ容疑で逮捕されるケースは珍しくない。1996年には日本人スパイが逮捕され約7年間投獄させられた事件もあるし、日本大使館の防衛駐在官も何度か逮捕されている。2015年中には、10人前後かそれ以上が、日本公安関係者として中国当局に逮捕されている。2010年には、そんなスパイ容疑逮捕者の仲間入りをする可能性があったカトケンの上海でのことをちょっと書いてみる。

上海万博でのバグパイプ演奏依頼は、2010年8月下旬から日程等の打ち合わせが本格化し、9月の第1~3週を指定されてきた。開幕前のプレイベントに関しては、本メルマガ2015年12月29日発行号に記している。そして、本番演奏指定の日が近づいてきたのだが、上海政府側からの情報は、上海への到着指定日と上海を離れる帰国日のみで、その間の演奏スケジュールや滞在先、演奏のない時間帯の過ごし方や居場所、自由行動の有無などについては、一切、説明がなかった(2010年1月のプレゼン時は自由行動ゼロだった)。

8月末になっても期間中の動き方がまったく知らされないので、カトケンの方からキャンセルの意志を示した。間に入った日本企業通訳さんは「中国というのは、こういう国なんですよ。現地へ到着すれば、あとは全てを任せておけばうまくいきますから」と言うが、あまりにも中身が曖昧未満=からっぽ、なので、そこの詳細説明がこないかぎりキャンセルすることに心は傾いていた。

すると、宿泊場所は上海政府の官僚宿舎を手配した、との報告。中国の官僚宿舎に泊まれるというのは、珍体験好きのカトケンとしては、かなり魅力は高い。あと、滞在する約2週間の中での演奏スケジュールが来れば「やはり、キャンセルせずに行こうかな」という気持ちになってきた。しかし、スケジュールはいっこうに来ないので、通訳にはキャンセルの意志を伝えたままとした。

print
いま読まれてます

  • 中国当局に「スパイ容疑」で逮捕されそうになった男の6年越しの告白
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け