中国が異常な量の金(ゴールド)を世界から買い漁っているワケ

 

また、今回の世界的大暴落に際しまして、多くの方々から、有事の際の金ゴールド)につきまして、ご質問を頂戴します。

現在、異常な量の金(ゴールド)が、世界中から中国に集まっています。

Record UK Gold Export To China In September, Chinese Gold Import Reaches 156t

英国だけでなく、スイスや米国の金(ゴールド)が中国に集中している上に、中国は今月、金(ゴールド)の保有高を公表するのを廃止しました。その理由は定かではありません。

昨年、中国の主婦の間で、資産を金(ゴールド)にして保有する動きが大きくなっていることは本メールマガジンでもお伝えしましたが、過去に文化大革命等を経験している中国人は、国家や通貨をそこまで信用しておりませんので、ある一定額を金(ゴールド)に換えて持ってリスクを回避するのが一般的です。これは香港でも同様で、それゆえ街中に「銀行」ではなく「金行」が多くあるのです。現在、中国では5年前と比べて、金(ゴールド)の取り引きは、700%増にも登っています

China is on a massive gold buying spree

中国人はまさに「有事の金」を肌で理解し、また、世界中の金(ゴールド)が中国に集まるということはそれだけ中国の危機が近づいていると見ることもできますが、もし、石油価格同様、英米が裏で手を握りながら中国に金(ゴールド)を高値で買わせ、一旦釣り上げながら、その後一気に暴落させ、中国をボロボロにし相対的に自国の価値を高める戦略をとっているとしたら大変なことになります。

世界中の誰もが「有事の金」だと思っていますが、だからこそ僕は危険が孕むと考えます。そこから考えられることは、今後数年間で金(ゴールド)が暴騰と暴落を繰り返す可能性がとても高いということです。

紙やデジタルの数字でしかない通貨は、いくらでも増やすことができますが、現物資産としての金(ゴールド)は増やすことはできません。しかし、金(ゴールド)を担保にドルを借り入れ、そのドルでまた金(ゴールド)を買ったり、ETFや先物市場に膨れ上がった通貨を集中させることで、価格をコントロールすることが可能なのが現代の金融システムです。すなわち、金(ゴールド)を使った「現代の錬金術」がここに生まれることになります。

原油価格をコントロールされたことにより、ロシアをはじめ資源で伸びてきた新興国は、現在未曾有の危機に瀕しています。もし、同じように金(ゴールド)を「誰かに」コントロールされ、中国を危機に陥れ、相対的に米国や英国の価値を高める可能性は、現段階では拭えません。

誰もが考える「有事の金」。常識だと言われることだからこそ、大きな危険が孕むことを忘れてはなりません。

image by: Shutterstock

 

高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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