やっぱり意味がある?繰り返し同じ夢を見る理由

2016.03.02
by Mocosuku
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同じ夢を繰り返し見た経験はないでしょうか。そしてそれが嫌な夢や不思議な気分になってしまう夢ということはないでしょうか。今はなくても一時期は…という方も多いようです。

繰り返し見る「夢」はなにかしらのメッセージが

実は繰り返し見る嫌な夢は、あなたの深層心理からの警告です。本来、心は生活環境の中に「自分を脅かすもの」がないか見張るセンサーです。ですが、人は仕事や家事など日々のいろんなことに意識を集中するあまり、心の本来の働きを使いこなせません。心が発しているさまざまな警告を無視することも多いのです。これが積み重なると、深層心理は私たちの意識が何かに集中していない隙間、すなわち寝ている間に訴えかけてきます。

たとえば「何かに吸い込まれるかのうように永遠に落ち続けていく夢」を繰り返し見る人がいます。このような夢は深層心理で自分が社会的にどんどん落ちぶれていくリスクを感じているときに見ることがあります。

ある女性は著名で顔が広く、社会的地位の高かった祖父が亡くなったことをきっかけに、このような夢を繰り返し見るようになりました。本人も自覚がなかったのですが、祖父の社会的な地位や顔の広さに無意識的に依存していたのでしょうね。自分を守ってくれていたものを失った心細さが夢に現れたようです。

「何かに追いかけられて、逃げ続ける夢」の意味

また、「何かに追いかけられて、逃げ続ける夢」を繰り返し見る人もいます。この夢は深層心理で何かに追い立てられるリスクを感じている時に見ることが多いようです。

ある男性は小学生時代は比較的成績が良かったのですが、中学で成績が伸びずに不良と呼ばれる同級生が集まる高校に進学することになりました。不良と呼ばれる人たちが雰囲気を作っている高校に馴染めず、絡まれたり脅されたりすることに内心怯えていたのですが、自分には「平気だ、平気だ」と言い聞かせて高校時代を過ごしたようです。怯えている自分を自覚することへの悔しさもあったようです。

そのころから逃げ続ける夢を繰り返し見るようになりました。高校在学中も成績が伸びず、両親と相談して環境をガラッと変えるために、大学は海外に留学しました。不良と呼ばれる人たちと縁が切れて、逃げ続ける夢を見る頻度が減りました。海外展開する大手企業に就職してからはほとんど見なくなったそうです。

このように、深層心理は私たちが日常のあれこれに集中している間も「自分を脅かすリスク」がないか絶えず見張っています。私たちの意識が気づかないことや受け入れたくないレベルのでリスクも敏感にキャッチしているのです。

深層心理に心を傾けて聞いてみよう

私たちの意識は常に「あれやらなきゃ」、「これやるはずだった」と日々の忙しさに向かっているので深層心理がキャッチしたリスクを無視しがちです。

私たちは進化のプロセスで「目的意識」というものを獲得して、「集中力」というものを身につけました。集中力のおかげで私たちは何かを成し遂げたり、計画性を持つこともできるようになりました。しかし、その分、本来の心の働きである「自分を脅かすリスク」を無視しがちになっています。

もし、嫌な気持ちや不思議な気持ちが残る夢を繰り返し見るようになったら、集中力を一時的に手放して深層心理が訴える何かに心を傾けてください。本当の幸せをつかむチャンスがそこにあるかもしれません。

 

<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。

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