ピーナッツアレルギーが世界的に増加、先進国では3%の幼児に発症

2016.03.07
shutterstock_257253946 copy
 

先進国の1〜3%の子どもたちが抱え、例年その数が増加傾向にあるピーナッツアレルギー。この問題について現在、世界では様々な研究と取り組みが行われています。とても身近な食べ物であるだけに、アレルギーではない人たちにも症状への理解と対応が求められています。いったい、どのような問題点を抱えているのでしょうか?

国際的な健康問題とされるピーナッツアレルギー

みなさんはピーナッツアレルギーについてどれくらい知っていますか?

ピーナッツアレルギーは幼児期に発症することが多く、ピーナッツそのものを食べていなくても接触や吸入しただけで症状が出てしまう食物アレルギーの一種。

短い時間に全身じんましん、喘息、下痢、嘔吐、意識喪失、呼吸困難などのアナフィラキーショックを起こしやすいとされています。

今、世界では先進国の1〜3%の子どもたちに症状が現れており、世界的に増加し続けている非常に厄介な健康問題して国際レベルでの研究が行われています。

先月、オーストラリアでは、アジア人の母親を持つオーストラリアで生まれた子どもは、アジアで生まれてオーストラリアに移住した子どもよりもアレルギーの発症率が高いという研究結果が発表されました。

また、アメリカではこの10〜15年でピーナッツアレルギーの有症率が3倍となり、同時にその治療方法が議論を呼んでいるようです。

あえて少しずつ食べて治す免疫療法

ウォールストリートジャーナル誌は先月、アメリカの医療機関によって発表された免疫療法についての記事を掲載しました。

研究によると、750〜760人の患者を対象に、少しずつピーナッツを食べる事でアレルギーの発症を抑える経口免疫療法を行った結果、90〜92%の患者に効果があったとのこと。

また、ピーナッツの摂取を遅らせることが、かえってアレルギーのリスクを増大させることに繋がる可能性があるため、乳児期の早期に摂取を始めるべきであるという声もあがっています。

しかし、免疫治療の成功率が高いというデータの裏で、すべての患者にこの免疫療法が効くとは限らず、場合によっては全く逆の作用を及ぼす可能性もあるという意見もあり、今もその懸念点は拭いれていないようです。

アレルギー症状を考慮した社会的な活動も

ピーナッツアレルギーが国際的な健康問題として認識されていく中、ブリティッシュ・エアウェイズはピーナッツアレルギー症状を持つ乗客への配慮として、フライトアテンダントが、機内でアレルギー症状を持つ人の隣ではナッツ製品を摂取しないように呼びかける取り組みを先月から開始しました。

さらに、ピーナッツを含む機内食の提供も中止。近年、乗客がピーナッツアレルギーによるショック症状を起こし、緊急着陸したケースもあるとのことで、このような取り組みを始めたのは必然と言えるかもしれません。 

また、ヘラルド誌は先月、アメリカの11歳の女の子がピーナッツ・アレルギーを持つ子どもたちのために会社を設立したという記事をとりあげました。

創設者のハーレーちゃんは生後10ヶ月からアレルギー症状に苦しみ、同じような境遇にある子どもたちが外食をしたりする時にアレルギーを認知されるようにと、英語とスペイン語で「No Peanuts Please!」と書かれたカードや、Tシャツ、バッグなどをオンラインで販売しています。

アレルギーを持っていない人にとっては、症状がどのようなもので、どれくらい危険であるのかを理解する機会はなかなか無かったかもしれませんが、これを機にきちんとした知識を得て、社会的な配慮と協力をしていきたいですね。

image by: shutterstock

source by Grand Forks Herald/ Mail Online/ The Wall Street Journal/ Allergy Apprentice/ Medical Xpress/ 日本アレルギー学会

文/長塚香織

print
いま読まれてます

  • ピーナッツアレルギーが世界的に増加、先進国では3%の幼児に発症
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け