米国よ、本気か? 現実味を帯びてきたトランプ次期大統領

 

日本ではほとんど話題にもならないリアリティショーの「アプレンティス」の全米人気はスゴいものでして、その内容は、企業に試験雇用された仕事見習い(アプレンティス)を追いかけるドキュメント番組で、そのひとつが不動産王ドナルド・トランプをホストにしたシリーズでした。番組の最後に脱落者を選び、トランプが「お前はクビだ! (You’re Fired!)」と宣告するキメ台詞が、全米で大きな話題となったのです。これにより、トランプはキャラクターと同時にそれなりの辣腕実業家であることが米国民に知られることになり、これが今回の大統領候補で人気の土台にあることは、このリアリティショーを見てない国の人にとってはわかりづらいものだと思います。

今回、トランプは共和党から出馬していますが、いままでの共和党政策である小さな政府・民営化・トリクルダウン理論をキーワードとする新自由主義を真っ向から否定し、今後は大資産家や富裕層への課税を強化、ウォール街や国際的な資本流動への規制も強化、そして社会福祉を拡充し、格差を縮小すると主張しているのです。さらにグローバリズム拡散による単一市場に対しては否定的で、中産階級以下には減税すれば経済が活性化すると強く訴えています。これだと、米国民主党左派と極めて近いことになるのですが、その表現方法は大きく異なります。

トランプの手法とは、大統領選をリアリティショーにしてしまうことにあります。政治および類する番組等を討議の場にしてしまうと、キャリア含めトランプの弱さが露呈しますが、現在、ヒラリーを含めすべての大統領候補を「トランプの大統領候補リアリティショー」に出演させてしまうことに成功しています。トランプが優れているのはこの一点だけで、この自分の土俵にすべての人々(競合候補やメディア、投票権を持つ人々)を巻き込むことに成功しているのです。

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